約 3,139,405 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1943.html
仮面ライダーリリカル電王sts第十話 「機動6課のある休日《前編》」 「最近、皆疲れてるんじゃない?」 「僕も、そう思う」 良太郎とハナは廊下を歩きながら話していた。 「最近、イマジンが連続して襲撃して来たから、休む暇もなかったから」 「それ以外にも訓練をしてるからね」 「そんなことないよ」 「そうかなぁ……てっスバル!?何でここにいるの!」 驚くハナ。そこにはスバルの姿があった。 「何でって、それは今日は一日お休みだから!」 「えっ、休み!」 「うん、お休み!だからこれからティアと街に行くんだ」 スバルの話によると、今朝の訓練にてなのはがこれまで訓練づけだったこと、そして度重なるイマジンの襲撃による疲弊などを考え休日としたらしい。 「それはいいんだけど…。何?その格好」 「変かな?」 「いや、変じゃないけど…、何かイメージと違うような」 ハナにここまで言わせたスバルの格好とは、黒の皮ジャンに赤いシャツ、黒のジーンズという、いうなればヤンキーの様な格好である。 「モモタロスが選んでくれたんだ!似合ってない?」 「似合ってるけどねぇ」 モモタロスのセンスを一瞬、疑ったハナであった。 一方、エリオはというとキャロが部屋から出て来るのを待っていた。 「遅いなぁ…」 『遅いなんて言っちゃダメだよ。女の子は時間がかかるんだから』 「そう、なんですか?」 『そうだよ』 「のわぁぁぁ!」 二人が話していた時、キャロの叫び声が聞こえた。 「この声は、キャロ!」 『行こう!』 「ハイッ!」 二人はそう言うと急ぎキャロの部屋に行き、扉を跳ね開け中に飛び込んだ。 「キャロ!だい、じょう、ぶ…」 『あ、ああ』 「ごめん!」 エリオはそう言うと部屋の外に出た。 それもそのはず、中には男物の和服を、着ている最中のキャロがいたのだから。 しかも帯は絞められておらず羽織っているだけで、胸などがほぼ見えている状態つまり半裸だったのだから無理もない。 普通は叫ぶのだが今はキンタロスが憑依している為、キョトンッとしている。 「何で驚いとるんや?別に見られてもなぁ」 『そ、それより早く着てください!』 「分かった、任しとき!」 どこか噛み合わない凸凹コンビであった。 さて、ところ変わってティアナの視点に移ろう。 ティアナはバイクを借りる為にヴァイスの元にいた。 ティアナにバイクを貸すため作業をしていたヴァイスはふと、気になることがあったので聞いてみた。 「借りるのはいいとしてよ、どしたぁその格好?」 「これはその…」 少し、言葉が詰まるティアナ。 ティアナの今の格好はグレーを基調とした服装に紫の染みの入ったグレーのキャップを被るというものである 「その、リュウタロスが選んでくれたんです!」 「へぇ~っ、すっかりお姉ちゃんだな!」 「な、そんなことありませんよ!」 『あ、お姉ちゃん照れてるぅ』 「ウッサイ!」 「ま、頑張れよ、お姉ちゃん!」 「もう、いい加減にして下さい!」 ティアナは少し顔を赤らめながらも必死に反論した。 その顔は、とても可愛らしかった。 「よし!これでいいだろ、それっ!」 そう言ってティアナにキーを渡すヴァイス。 ティアナはソレを受け取った瞬間、リュウタロスが突然憑いた。 「あのさぁヴァイス」 「どした?リュウタロス」 「ヴァイスって魔導師だったんだよね?」 「まぁな。どっちにしろ昔の話さ…」 「ふ~ん。じゃあさ、お願い聞いてくれる?」 「おう、俺に出来る事ならいいぜ」 「やったぁ!それじゃねぇ…」 このことがいずれティアナの身を救うことになるとは誰が想像しただろう。 頼み事を終えるとリュウタロスはティアナの中に戻った。 「ほんじゃ、相方が待ってんだろ?行って来い」 「はい、ヴァイス陸曹ありがとうございます」 「リュウタロスもな」 『分かったよ』 そう言ってスバルの元に行くティアナを見送り、ヴァイスは少し考えていた。 リュウタロスが頼んだことを…。 「こんな俺に頼むなんてなぁ…」 さて、ティアナはというと、スバルと合流し出発しようとしてると見送りになのはがやって来た。 「じゃあ、転ばないようにね」 「大丈夫です!前の部隊にいた時は、ほとんど毎日乗ってましたから」 「ティア、運転上手いんです。あ、お土産買って来ますね!クッキーとか」 「嬉しいけど、気にしなくていいから。四人で楽しく遊んで来なさいね」 「はい!」 『分かったぜ』 「行って来ます」 『行って来るよ、なのはお姉ちゃん!』 「あ、待って!モモタロス、言っておくけど」 『何だよ?』 「ケンカはしちゃダメだよ。ケンカしたら、分かってるよね?(満面の笑み)」 『お、おう…』 こうしてスバル達は出発した。 スバル達が出発した後、エリオとキャロそしてフェイトがやって来た。 「ライトニング隊も一緒にお出かけ?」 『はい!』 「はい、気をつけて」 なのはは笑顔で二人に答えたものの、後ろで心配そうにしてるフェイトを見て、苦笑した。 (フェイトちゃん心配しすぎ…) 「あんまり遅くならない内に帰るんだよ?夜の街は危ないからね」 『はい!』 『大丈夫だって、僕がいるしね』 『俺に任しとき!』 「ならいいけど…」 どちらかと言えばウラタロスに任せる方が心配なフェイトである。 だって、ナンパするのは目に見えているからだ。 「大丈夫だよ!ナンパしたら分かってるよねウ・ラ・タ・ロ・ス!」 『わ、分かったよ…』 「なのは、最近なんか吹っ切れた?」 「何も!」 なのはがウラタロスに念を押したあとフェイトはふと思ったことを聞いてみた。 しかし、ものすごい笑顔で返され深くは聞かないことにした。 一方、良太郎はというとシャーリーの元で、オーラシステムの説明を受けていた。 「オーラシステムというのはイマジンの持つフリーエネルギーを利用したシステムなんです」 「どういう意味ですか?」 「フリーエネルギーを変換、アーマーへと変形させる、言わば電王の変身システムと同じなんです」 「へぇ、そうなんですか」 「そういうことです!あ、データ取り終わったんでこれ、お返ししますね!」 そう言ってシャーリーから返されたのは、データ解析の為に貸していたケータロスであった。 「ありがとうございます」 「いえ、こちらこそ色々参考になりました」 さて、この後、スバルとモモタロスがアイス十段重ねに挑戦したり、ティアナがダンスを披露したりするのだがそれはまた別の話。 「はぁ…はぁ…」 ここは地下の排水路。一人の少女が歩いていた。二つのケースを引きずりながら…。 「きゃ!」 少女は足を滑らしてしまった。そして、ケースの一方を落としてしまった。 「はぁ…はぁ…いかなきゃ…」 その時、目の前の通路から少年が現れた。 「きゃ!」 「おっと、大丈夫か?」 少女は転びそうになったが少年が支えた。 「あなた、誰?」 「俺か?俺は…」 「み~つけた。探したんだぜ!」 少年が名前を名乗ろうとした時、二人の目の前にオクトイマジン壱式が現れた。 「イマジン!?逃げろ!早く!」 「うん…」 そう言って逃げる少女。オクトイマジン壱式は追おうとするが少年が立ち塞がる。 「何してくれてんだぁ、あ~ん!」 「へん、かかってこいよ!」 その声と共にベルトを取り出し腰に巻くと、カードを取り出し構えた。 「変身!!」 『Ultair Form』 音声と共に少年の姿は変わる。緑と黄色のアーマーが装着され、牛の頭のようなデンカメンが装着される。 そう、この少年も仮面ライダーである。名はゼロノス。 「最初に言っておく!俺はか~な~り強い!!」 「フザケンナァ!」 ゼロノスはオクトイマジン壱式と戦いを始めた。 さて、その頃、エリオ(少しボロボロ)はふと何か音が聞こえた気がした。 「何か聞こえなかった?」 『そう言えば、何か聞こえたような…』 「うん、そんな気がする」 『行って見るしかなさそうやな』 「あそこだ!」 そう言って駆け出し、路地裏へとやって来た。そこには! 「女の子?」 『怪我してるみたいだね』 そこにいたのはボロボロの少女。Uエリオは少女の近くに行き、呟く。 「こんなに小さいのにね…」 後ろではキャロが全体に連絡を送っていた。 一方地下ではゼロノスとオクトイマジン壱式の戦いが続いていた。 オクトイマジン壱式は右手をフィンガーバルカンに乱射するもののゼロノスのスピードに押されていた。 「ちょこまか動くなぁ」 「ウッセェなぁ、だったらこれでどうだ!」 声共にゼロガッシャーサーベルモードで切りつけていく。 軽快な動きで一方的に。 「テメェ!」 体当たりを仕掛けるオクトイマジン壱式だがゼロノスは避け、すれ違いざまに切り裂いた。 「グアァッ!テメェェ!」 「トドメだ!!」 『fullcharge』 ベルトの左上のボタンを押し、エネルギーをチャージ。 そしてエネルギーがチャージされたゼロノスカードをゼロガッシャーにアプセットした。 「ウオォォォ!!死ねぇ!」 真っ向から突撃してきたオクトイマジン壱式をゼロノスは真っ二つに切り裂いた。 必殺技「スプレッテンドエンド」である。 オクトイマジン壱式は身体にAの文字が刻まれ爆発した。 ゼロノスは変身をといた。 「たくデネブの奴どこ行ったんだ?それにここ何処だよ…」 少年、桜井侑斗は呟いた。 次回予告 ハナ「激しさを増す戦い。謎深き少女」 はやて「そして、新たな仮面ライダー」 ハナ「物語は風雲急を告げる」 はやて「次回仮面ライダーリリカル電王sts第十一話「機動6課のある休日《後編》」や」 ハナ「お楽しみに!」 はやて「なぁ、最近出番少ないんやけど…」 ハナ「大丈夫。出番はあるから、落ち込まないで」 はやて「うん、ありがとう」 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/gakuen/pages/47.html
あ行 / か行 / さ / た行 / な行 / は行 / ま行 / や行 / ら行 あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1330.html
「――どうも、私の連れが知らぬ事とはいえ、なのはさんのお知り合いの方に、大変な粗相を……」 クロは慇懃に頭を下げ、ヤンに謝罪した。 「いや、あの状況なら、そのような誤解を受けても仕様がないだろうし」 「でも……」 「クロさん」 「はい」 「過ぎたことさ、水に流そう。それに」 ヤンは目の前で棺桶を担いで佇むクロ、ヴィヴィオときゃいきゃいとはしゃいでいるニジュクとサンジュ、そして、 「てるてる坊主、てるぼうず……」 また簀巻きにされて枝に吊されているセンを見て、 「君たちのこれからを、考えなくてはね」 そう言った。 「ヤンさん……」 「私も、別次元からの転移組なんでね」 「ッ! そうでしたか……」 「とは言え、事情はかなり違っているのだけど」 ヤンは苦笑して、後頭部を掻き回す。 「でも、気持ちは解らなくもないんだ」 「……恐れ入ります」 そして、ヤンはなのはに顔を向けると、 「と言うことで、なのは、彼らのことをほんの二、三日、君の家であずかってもらえないかな」 唐突な、お願いだった。 「……えッ、でも」 「君の言いたいことも、もちろん解る。けどね」 ヤンが言葉を続けようとした時、 「ねぇママ、見て見て♪」 ヴィヴィオが嬉しそうに駆けてきます。 「ヴィヴィオ、今大事なおはな、し、……えええッッッ!!!」 娘の姿に素っ頓狂な声を上げたなのは。 「ちょっと、何て……」 言葉が続かない。 「おおッ、これはまた……」 苦笑しつつ、やはり驚きを隠せないヤン。 それもそうです。今のヴィヴィオは色とりどりのまだら模様。全くサイケデリックな現代アートそのもの。 クロ以外の大人が絶句するのを横目に、ヴィヴィオはニコニコ顔。 「えっとね、ニジュクとサンジュ、すごいんだよ。色んなお花や木から色を分けてもらってね、ヴィヴィオに着けてくれたんだよ♪」 「へえ、綺麗なものだね」 平然とした口調で、しかし微笑みながらクロは言いました。 「えへへ」 ヴィヴィオは得意顔です。 「あの子達は、指先から色々なものの色を吸い上げて、それを他のものに移し替えることが出来るんですよ」 事もなさげに、クロはなのはとヤンに説明した。 「大丈夫、タオルで拭いたり、服を絞ったりすれば簡単に落ちますから」 「それって、魔法、ですか?」 なのはの問いかけに、 「さあ、どうなんでしょうね……」 また、あの双子に駆け寄ろうとしているヴィヴィオを見ながら、クロは言った。 「成る程、これでは尚更、無条件で管理局の保護を受けさせられないな」 ヤンは言った。 「提督?」 「なのはも見ただろう、あの子達のあの能力」 「はい」 「クロさん、あの子達には、まだ」 「ええ、まあ、まだいくつか力が」 「だそうだよ、なのは」 些か厳しい表情になる、ヤン。 「私は、あの子達を、魔導研究の材料として、供するようなマネはしたくない」 「提督……」 「あの子達は、生きているんだ。解るね」 「……はい」 「それでなくとも、彼らはこちらに来て日が浅いなんてものじゃなく、あまりに突然来訪したんだ。心の整理が必要だ。だから」 また、三人のきゃいきゃいとはしゃぐ様子を見て、いつもの柔和な顔に戻り、 「私の我が儘、聞いてくれないかな」 ヤンは言った。 「少なくとも、彼らが最も心を開ける存在は、現時点では君たち以外にいないのだからね」 その言葉に、なのははクロを見る。 顔は平然としていたが、その眼は、一抹の不安を隠しきれない様子だった。 「――了解しました、ヤン提督」 「なのはさん?」 「そうか。すまない」 「いえ、提督の仰ることも理解できますし、それに」 三人のはしゃぐ子供達を見て、 「あの子達を一緒になって捜した仲ですし」 「なのはさん……」 なのはは、クロに無言で頷いた。 「解った。では、君には彼らのことを宜しく頼むとして、後の書類やら交渉やらは私の方でやっておくよ」 「えっ、でも」 「いや、これは飽くまでも私の我が儘なのだから、そう言った一切の面倒な事は、 私がやるのが礼儀だよ。違うかい、なのは?」 と言いつつヤンは、 「でも、実際の所、面倒くさいけどね」 肩をすくめて笑った。 その様子に、 「もうッ、提督ったら」 「全く……」 二人はくすくすと笑った。 そんな三人の間を、優しく風が吹き抜ける。 「さて、人を待たせてるのでね、そろそろ私は行くよ」 「ヤンさん」 「なんだい、クロさん」 「本当に何から何まで、ありがとうございます」 頭を下げるクロ。そこには慇懃さはなく、真摯さのみがあった。 「困った時はお互い様さ、それじゃあ」 そう言って背を向け、ヤンは歩き出した。 そして、二人に聞こえるように、独り言。 「全くね。本当だったら、本日の休暇は無限書庫で、久々に優雅に読書を嗜むはずだったんだ」 ベージュのスラックスのポケットに手を入れて、歩く。 「そうしたらね、今駐車場で待っている奴が、『最高のブーメランが出来たから見てくれ』と来たもんだ」 子供達に向かって、歩く。 「そして、無理矢理私は、ここに連れてこられた」 ニジュクとサンジュの目の前で足を止め、空を見上げる。 その場にいた者達は、つられて見上げた。 ぽつりぽつりと雲の浮かぶ蒼空を、一筋の飛行機雲が切り裂いていた。かすかにキーンと音を立てながら。 「でも」 そして、双子の前にしゃがみ込み、 「君たちと出会えたこと、それには感謝しないといけないね」 微笑んで二人の頭を優しくなでた。 「おいちゃ、いっちゃうの」 「おじちゃん、もうあえないの」 二人とも、寂しそうです。 「うん、私も色々と忙しくてね」 ヤン提督も、寂しそう。 「でも、君たちが元気に、良い子にしていれば、会えるかも知れない」 「ほんとに?」 「ああ」 「ほんとうに?」 「もちろん」 提督は二人の頭をまたなでました。 「『魔術師』のおじさん……」 いつの間にか、ヴィヴィオも傍にいました。 その頭も、提督は優しくなでます。 「おじさんの歴史のお話、とても面白いから、今日も聞きたかったのに……」 「ごめん、それはまた今度だ」 そして、 「でも、その時は名前で呼んでもらえると、嬉しいかな」 そう言って、また歩き出しました。 「おいちゃ、ばいばい」 「おじちゃん、またね」 「おじさん、絶対だよ」 三人に振り向いて、ヤン提督は手を振り、そして、森の中に消えていきました。 「いい人ですね」 「管理局でも、あの人を悪く言う人は少ないですよ」 「でも……」 何か言いかけて、クロは頭を振った。 「いえ、何でもないです」 「クロさん?」 「それより、なのはさん」 「はい」 「本当に、お世話になっても、良いのでしょうか……?」 遠慮がちに、クロは尋ねる。 「何しろ、私たちは……」 「はい、そこまで」 何かを言いかけたクロを、手でなのはは制す。 「なのはさん?」 「確かに、ヤン提督のお願いだから、ッていうのもあります」 「はぁ……」 「でもね」 なのはは、まだきゃいきゃいと転げ回っている子供達を見た。 「せっかく、出会ったんですから。運命のいたずらかも知れないけど、私達、出会えたんですから」 そして、クロをまじまじと見つめ、 「もっと、お互いのこと、知りたくないですか」 そんななのはを、ただ無言で見つめるクロ。 「だから、お世話させて下さい」 にっこりと微笑んだなのは。 「これは、提督の我が儘でもあるけど、私の我が儘でもあります、えへへ」 屈託のない、笑顔。 嗚呼、とクロは思った。 この人になら、と思った。 そして、 「こちらこそ、申し訳ありませんが、宜しく、お世話になります」 深々と、頭を下げたのだった。 かくして、二つの世界は交わった。 しかし、何時かは別れの時が来ます。 だが、それが何時来るのかは、誰も未だ知らず。 だが、それが旅を続けるということです。 であるなら、彼らの別れは如何なる物になるのか。 だから私は、この一期一会は、きっと、幸せなものになると信じたいのです。 『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』 第一章・了 「あのう、……俺、何時までてるてる坊主やらなきゃいけない訳? て言うか、俺、ここでもこんな扱い?」 まあ、当然じゃないですか? 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/
Wiki詳細 このWikiは、2chのアニキャラ総合板にある「リリカルなのはクロスSSスレ」のSS保存・まとめを目的として作られたWikiです。 下記のリンクから各作者様の作品まとめページへと飛んでください 現行スレ リリカルなのはクロスSSその124 http //hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1362574171/l50 前スレ リリカルなのはクロスSSその122(実質123) http //engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1332255503/l50 目次 作者別インデックス タイトル別インデックス クロス元別インデックス 完結作品インデックス 単発SS・一発ネタ 修正依頼について 設定ミスや誤植などの修正を依頼される場合は、こちらの掲示板でお願いします リリカルなのはクロスSSスレ掲示板 http //bbs11.fc2.com/php/e.php/nanohassbbs/ 避難所 避難所です。本スレが使えない場合や、何らかのイベント時に活用ください リリカルなのはクロスSSスレ 避難所 http //jbbs.livedoor.jp/anime/6053/ ([避難所管理人氏への私信]紹介文に不満がある場合、まとめ掲示板にその旨をお願いします) SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)総合避難所 http //ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ 姉妹スレ 本スレのSS登場キャラによるバトロワスレです。祝・完結致しました。 リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルまとめwiki http //www5.atwiki.jp/nanoharow/ リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル避難所 http //jbbs.livedoor.jp/otaku/12701/ 本音で語るスレ 読んで字の如く、本音で語るスレです。本スレや避難所では話しにくいような事はこちらで。 ルール絶対厳守。職人の方が見ることは推奨できません。 リリカルなのはクロスSS 本音で語る部屋 http //jbbs.livedoor.jp/anime/6442/ リンク その他リンク集 アクセスカウンター 今日は - 回カートリッジロードされました。 昨日は - 回カートリッジロードされました。 現在までのロード回数は計 - 回です。 TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/442.html
リリカルなのはGX 第??話「最強の魔法使いデッキ」 「俺のターンドロー!」 遊城十代は、左腕に付けたデュエルディスクからカードを引いた。 デュエルの相手は、コスプレなのだろうか白いショートコートにミニスカートな格好の女性だ。 「俺は、E-HEROスパークマンを召喚!カードを一枚伏せターンエンド」 十代のターンが終了し、白服の女性のターンが来る。 「私のターン…ドローなの!私は、ティアナ・ランスターを攻撃表示で召喚!」 現れたのは、二丁拳銃を持ったツインテールの女性だった。 「ティアナ・ランスター攻撃力1650・防御力1200のモンスターか」 「私は、カードを一枚伏せティアナで攻撃!」 『クロスファイヤーシュート!』 白い服を着た女性なのはの攻撃宣言により攻撃を開始するティアナ。 「そうは行くか!トラップカードオープン!」 十代が伏せていたカードは、トラップカード・ヒーローバリアだった。 「ヒーローバリアの効果で、E-HEROへの攻撃を無力化する!」 「私のターンは終了よ」 「そんじゃ、俺のターン…ドロー!俺は、手札のE-HEROクレイマンと場のスパークマンを融合! 現れろ、E-HEROサンダー・ジャイアント!」 十代の持つ融合のカードで現れたのは、雷をまとった巨大なヒーローだった。 「サンダー・ジャイアントの特殊効果発動!ヴェイパー・スパーク!」 その効果で場にいるティアナは、激しい雷に撃たれ破壊される。 「キャァー!」 「ティアナ!」 ティアナが破壊され、少し表情が曇るなのは。 「ザンダー・ジャイアントの攻撃は終わってないぜ!行けぇぇぇ!ボルティック・サンダー!!」 攻撃力2400のダイレクトアタックが決まり、なのはのLPが1600まで削られてしまう。 「くっ、罠カードオープン、魂の綱!1000ライフポイントを払うことでデッキから☆4以下のモンスターを特殊召喚!」 現れたのは、守備表示のフェレットだった。 「(ん?トラップのタイミングミスか。サンダー・ジャイアントの攻撃時に召喚すればダメージを受けずに済んだのに)」 十代が、そんなことを考えているとデュエル相手の女性が話しかけてくる。 「十代くん、バトルフェイズが終わったけどターン終了はまだかな?」 「あ、えーと、カードを1枚伏せターン終了だ」 十代がターン終了を宣言したのを聞いたなのはは、カードをドローする。 「私は、ユーノくんの効果でライフを500回復」 なのはが表側守備表示で出していたユーノくん攻撃力500守備力2050は、 スタンバイフェイズに一度ライフを500回復させる効果がある。 「そして、ユーノくんを生贄にフェイトちゃんを召喚!」 生贄召喚されたのは、☆6つの上級モンスターフェイト・T・ハラオウンと言う女の子だ。 攻撃力2500守備力1500の魔法使い族だ。 「すげぇぇぇ!そんなカードがあるなんて、翔が見たら喜びそうだなぁ」 「そして、装備カード・使い魔の援護を発動!この効果で攻守700ポイントアップ!」 攻撃力3200と成ったフェイトには、更なる効果があった。 「フェイトちゃんで、サンダー・ジャイアントを攻撃!」 「バルディッシュ!」 『Haken Saber』 金色の刃が黒い斧杖から発射され、サンダー・ジャイアントを切り裂き破壊する。 「ぐっ」 十代のライフは800削られLP3200となった。 伏せカードを使おうと考えた十代だったが、サンダー・ジャイアントの破壊前に使えなかったのだ。 「何故、伏せカードが使えないんだ?」 「フェイトちゃんの効果なの。一ターンに一度相手の場の伏せカードを1枚封じるの」 「すげぇ効果」 「そして、カードを1枚伏せターン終了なの!」 なのはの出した少女にサンダー・ジャイアント破壊されながらも、楽しくて仕方がない十代。 「ドロー!俺は、フレンドッグを守備表示で召喚!そして、カードを1枚伏せターン終了」 十代は犬型機械族モンスターを召喚し、伏せカード2枚目をセットしターンを終了した。 「私のターン、ドローなの!」 彼女は引いたカードをほほ笑む。 「私は、儀式カード・白き戦神を発動なの!☆8以上のモンスターを生贄に…出でよ!高町なのは!!」 手札のクロノ・ハラオウン☆8を儀式のコストとし、☆8の儀式モンスター・高町なのはを召喚したのだ。 その攻撃力は3200、守備力は2800と凄まじい。 「さぁ、私の攻撃!フェイトちゃんでフレンドッグを攻撃!ハーケン・セイバー」 金色の刃によって切断されるフレンドッグ。 「フレンドッグの効果発動!墓地に送られた時、墓地のE-HERO1体と融合を手札に加える」 「まだ、私のバトルは終わってないの!ディバイーン・バスター!!」 『Extension』 凄まじいピンク色の光が十代を襲う。 「伏せカードオープン!」 「フェイトちゃんの効果で1枚封じるよ!…そのカードを封じるわ」 「ラッキー!俺が発動するのはこっちだ!」 なのはが封じたのは融合解除だったのだ。 十代が発動させたのは、もう一つの方だった。 「ヒーロー・シグナルで、デッキからE-HEROを特殊召喚する!現れろ、バースト・レディ!」 炎のヒーローE-HEROバースト・レディが守備表示で召喚された。 なのはの攻撃は、バースト・レディを粉砕する。 単発総合目次へ 遊戯王系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/644.html
Round ZERO ~MOONLIT BEETLES ◆7pf62HiyTE ――ふと空を見上げる。そこには変わらぬ満月が彼を照らしていた。 「嫌な月だ――」 金居はそう呟く。 昨日と同じ変わらぬ満月――自分達参加者以外には人も動物も虫もいない異常な空間――それはこの場所が作られた空間である事を意味している。 その場所に放り込まれて一方的に殺し合いをしろと言われて良い気などするわけがないだろう。 C-9、ジェイル・スカリエッティのアジトより北方数百メートルの位置に金居はいた。 放送前、プレシア・テスタロッサからの要請でアジトに集結するであろう対主催集団を崩壊させろと指示を受けていた筈の金居はアジトに向かう事無くその場所で待機していた。 プレシアの指示を無視? 確かに最終的に遵守するつもりはないが、現状で刃向かうメリットなど少ない。では何故か? 実際の所、アジト周辺に到着したのは放送開始前だった。上空から確認した所アジトには2人の参加者が既に到着していたのが見えた。 両名とも自身にとって未知の人物であった為、この2人と接触し攪乱もしくは殺害する事を考えてはいた。 だが、やはり上空から確認した所、ヴァッシュ・ザ・スタンピードと八神はやてがアジトに向かってくるのが見えていた。 そして、実際に地上に降りた後、アジトに近付こうとしたタイミングではやてとヴァッシュが到着。結果として接触のタイミングを逃してしまった。 その後、連中に気付かれない様にアジトから離れたという事だ。幸い再会での盛り上がり、及び放送が流れてきた事で周囲への警戒が多少緩んでいたため自分の存在には気付かれていないだろう。 そして、双方共に確認出来ない場所まで移動し周辺への警戒は怠らず待機していたという事だ。なお、只待っていても意味など無い為砂糖を舐めながらである。 何故、4人の集団に接触しなかったのか? それは金居自身にとって少々分の悪い賭けだったからだ。 金居、ヴァッシュ、はやては共に激闘が繰り広げられたホテルアグスタにいたがその場所から先に離脱したのはヴァッシュとはやてだ。金居はジョーカーこと相川始と戦う為その場に残った。 その後、金居と始は激闘を繰り広げたがそこにエネルとヴィヴィオという金居でも手を焼く強敵が乱入した事で金居は2人をジョーカー、そして始の戦いを見届けるため残ったはやての部下スバル・ナカジマに任せる形でホテルより離脱した。 金居が戦いに加わる前、始は既にスバル、ヴァッシュ、そして柊かがみと戦っていた。その決着については始が紫髪の少女を倒しヴァッシュとスバルを助ける形で終わった。そしてヴァッシュとスバルは始を仲間として迎えていた。 始の正体は最強最悪の存在ジョーカー、ギラファクワガタムシの祖であるギラファアンデッドである金居から見ても人類から見ても敵でしかない。だが、事情を知らないヴァッシュ達が理解出来なくても仕方のない話ではある。 つまり、もしこの場でのこのこ自分が現れた場合、始やスバルを置き去りにした事でヴァッシュやはやてから不要な疑いを掛けられる可能性が高い。少なくても始が封印された事は事実なのでどちらにしても警戒される可能性は高いだろう。 そもそもホテルを経ったタイミングが遅い筈なのに同じタイミングで現れるというのも違和感を覚えさせる要因だ。 幾らプレシアの要請とはいえ、金居にとっては不利な要因が大きい。戦いになったところで負けるつもりは無いが、後にキングとの戦いが控えている以上消耗は最小限に抑えたい。 故に現状は下手に介入せず近くで待機する事が最善と判断したのだ。時が経ち状況が変われば介入するタイミングも見えるだろう。 とはいえ、ただ無駄に待つ事をプレシアは望まないだろうし金居としてもそうするつもりはない。 故に金居は先を読み一手仕掛ける事にした。そう、金居の手元にあるガジェットドローン5機を利用するという事だ。 頭に命令を思い浮かべるだけで実行するそれは金居にとって強力な武器だ。金居は手元の5機にある命令を送り現在位置よりから北方向へ飛ばしたのだ。無論、アジトからは確認出来ないように。 その命令は『各種施設の探索及び破壊』、『施設に向かった参加者の殺害』である。 何故、ガジェットをアジトで繰り広げられるであろう戦闘で使わず遠くの施設に飛ばしたのか? 勿論手元に密かに置いておく事で隙を作るメリットは確かにあった。しかし一方でガジェットを所持しておく事で不要な警戒を招く危険性もある。 故に全てのガジェットを手元から離す事でその疑いを避けるという手法も有効だという事だ。 幸いガジェットへの命令は頭で思い浮かべるだけで済む為、集団でいる所でガジェットに自分以外を襲う様にし向けても自分が命令元だと悟られる可能性はさほど高くはない。 さて、先の命令を送った理由だが、それは対主催集団の次の行動を読んでの事だ。 アジトに集った参加者は次はどうするのか? おおかた首輪解除に向けて工場等他の施設に向かうだろう。 また、アジトで戦闘が起こった場合も他の施設へ待避する事も想像に難くない。 つまり、先手を打つ事で連中の次の手を潰し仕留めるという事だ。対主催の妨害になっているのならば少なくてもプレシアから文句を言われる筋合いは無いだろう。 北を見ると火の手が上がっているのが見える。どうやら工場が炎上しているのだろう。ガジェット達はちゃんと仕事をしているという事だ。 「これで首輪解除の手段が1つ潰れたな」 その最中、金居は今後の事を考える。放送からある程度時間が経過した。このタイミングならば連中の前に姿を現しても疑われる可能性は大分低くなる。 とはいえ絶対とは言い難い、残り人数は自身を含め12人。彼等の情報を今一度纏め直したい所だ。 まず元々の敵とも言うべきコーカサスビートルアンデッドキング、厳密に言えばここで決着を着ける必然性も無いが奴の性格上自身の目的の障害になる可能性が高い故、戦いは避けられない。 そもそも最後の1人になるまで戦う事を偽装するならばキングとも戦うという事は当然の理だろうし金居もキングと戦う事については異存はない。 幸いこの場では時間停止が行えない事は確認済みなので戦いになっても自身が圧倒的に不利という事はないだろう。とはいえ自身と同じカテゴリーKである以上その実力は互角、どういう状況になるにせよ極力自分優位に持っていきたい所だ。 次に仮面ライダーカブトこと天道総司、ライダーに変身出来ないならば戦力的に問題は無いが変身出来るならば厄介な相手だ。 また変身出来ない状況でもその能力は侮りがたい。味方だと入り込んだ所で自身の目的を看破される可能性が高いだろう。 続いてはやて、高町なのは、スバル、ユーノ・スクライア、管理局の4人だ。ユーノに関しては未知の人物だがはやてとなのは辺りに対してはある程度信頼を得てはいるが完全とは言い難い。 いや、以前仕掛けたカードデッキの仕掛を看破されたならばなのはからも警戒されている可能性も高い。どちらにせよ以前のように味方として接する事が出来るとは言い難いだろう。 またスバルに対しても彼女が始を信頼していた事などを踏まえ自分を敵と認識している可能性が高いだろう。ジョーカーが危険な存在であってもその脅威を知らない以上それも仕方がない。 続いてなのはの娘であるヴィヴィオ、ホテルでの戦いでは殺戮マシーン状態だったが、今現在は元の無力な幼女に戻った事を確認済み。故に現状警戒する必要はない。 次にヴァッシュだ。先の戦いを見た所その実力は確か。同時に人格面でも殺し合いを良しとしない事は明白。自分の事をどう思っているかは不明瞭だが警戒しておくにこした事はない。 先のホテルで始達が交戦したかがみに対しては特別脅威ではないだろう。ライダーに変身するベルトは既にスバルが取り上げている。ベルトがなければ只の少女、大きな障害にはなり得ない。 もっともライダーに変身したところで始の変身したカリスに敗れている以上その実力は始以下、どちらにしろ問題はない。 泉こなた、アンジール・ヒューレーに関しては詳細不明、もしかしたらアジトで待っていた人物かもしれないがそうでない可能性もあるため言及は避けよう。 勿論、金居自身アンデッドや仮面ライダーはともかく人間程度に負けるとは思ってはいない。 しかし前にギンガ・ナカジマ及び始と戦った時、武蔵坊弁慶が盾にならなければ自分が敗れていた状況であった事を踏まえるならば人間を侮りすぎる事は愚行と言える。 そもそもエネルやアーカード、先のヴィヴィオと言った自身の戦闘能力を凌駕する連中が数多くいる事は認めたくはないが事実だ。どの相手に対しても油断せずにゆくべきだろう。 とはいえどんな強敵であっても倒す事が可能なのはこれまでの戦いが証明している。故にそれについては絶望していない。だが、それはこちらも同じ事、いかにアンデッドといえども倒される可能性を決して忘れてはならない。 一方で金居自身ある事が引っかかっていた。それは先の放送が定時より10分遅れだった事だ。金居にとってこれは重要な事である。 金居視点から見た場合、10分遅れた理由は放送前に自身との接触があり、自身が無事にプレシアの言葉に従い倉庫の中身を確保しアジトに向かうかどうかを確かめていたからと説明する事は可能だ。 しかし、今回に限っては説明出来てしまっては正直まずい。要するに10分遅れてしまったら、暗に何かあったのではと思案される危険がある。 つまり、遅れたのは『何か仕掛をしていた=金居と接触していた』と悟られる可能性があるという事だ。 わかりきった事だが金居としてはこれは非常に困る話だ。散々人に参加者殺せと言っておきながらその足を引っ張るのは如何なものか。 別にサポートしてくれとは言わないがせめて足を引っ張らないで欲しいと思う。 勿論、これ自体がプレシアが参加者を攪乱させる為だけという話も無いではないが、警戒される以上自分としては良い迷惑である。真意が何であれ自分に不利益な解釈をされかねない事は避けてもらいたかった。 「定時に出来ないのなら前の放送の様に誰かに変わってもらえば良かっただろうが……」 そう毒突く金居であったが、実際3回目の放送の様にオットーにやらせれば何の問題もない話なのは確か。自分との接触で遅れたのならば正直笑えない話である。 だが、プレシアもそこまで愚者だとは思えない。もしかすると自身との接触の段階では問題は無かったがその直後に何かあったという可能性は否定出来ない。 いや、それならそれでひとまずオットー辺りに定時に行わせプレシア自身は事態の鎮圧に向かえば良い。それでもどうにもならなければ10分遅れた事について簡単で良いからフォローを入れればある程度違和感は拭える筈だ。 それをせずに単純に10分遅れただけで何の変哲も無い放送をしたとなると、漠然と放送を聞くだけの何も考えない参加者はともかく知略に秀でた者達は容易にその異常さに気付くだろう。 考えられる事としてはオットーに放送を任せられない事態が発生したという可能性。つまり、主催側の内乱である。 だが、こういう解釈が出来るとなるとその内乱でプレシア自身にも何かが起こり――最悪退場した可能性もある。 そしてプレシアがいかにも健在であるかの様に見せる為、放送はプレシアに扮した者が行うという話だ。金居自身の世界に人間に擬態するワームの存在がある以上そういう可能性があっても不思議ではないだろう。 だが―― 「――何にしても現状すべき事に変わりはない」 結局の所、主催側で何かが起こったとしてもそれは想像の域を出ない。確定的な証拠が出ない以上断定は避けるべきだ。 それに仮に何かが起こっていたとしても自分優位な状況を作り出すため今後も当面は参加者同士を潰し合わせる方針に変わりはない。 そもそも主催側の事情がどうあれキングは何れ倒す敵である事に変わりはないし、参加者の中には障害となるものもいる。故に、 「あんたの望む通りに戦ってやる。もっとも俺なりのやり方ではあるがな――」 プレシアに聞こえる様にそう呟いた―― そんな中、1体のガジェットが金居の所に戻ってきた。前述の金居の指示に従うならば戻ってくる理由は―― 「……ほう」 ガジェットが持ってきたのは3つの道具だ。一見すると全て無用の長物に見える。しかし金居の目を惹くものがそこには確かにあった。 「まさかクラブのKが手に入るとはな」 その内の1つがアンデッドが封印されているラウズカード、それも金居やキング同様カテゴリーKのカードだ。 もっとも、金居が手に入れた所で別段使えるものではない。しかし自身の世界のものである以上捨て置く理由はない。故に金居はそれをデイパックに仕舞う。 「後の2つは……よくわからんな」 残りは宝石の様な球体と何かの首飾りだった。 使い道がわからない為、今の金居にとって有用な道具ではないが他の者にとってはそうとは言えない。 故に下手に利用されるのを避けるため自分の手元に置いておく分には問題はないだろう。そうかさばるものではないというのも理由にある。 そして用事を済ませたガジェットは再び金居の指示に従い北へ向かった。 「しかし、一体何処で手に入れたんだ? まぁどうでもいい話だがな」 金居自身知る由は無いが3つの道具はある場所から回収されたものだ。 それらは聖王のゆりかご玉座の間にあった。ガジェット達は北上しループを越えてゆりかごに辿り着いた。そしてその玉座の間にあった道具の中で使えると判断したものを回収したのだ。 これまでの話を読んだ方の中には玉座の間には他にも道具があったのではと疑問に思う者も数多いだろう。しかし結論を言えば他に使える道具を見つける事は出来なかった。 何故か? そもそも玉座の間には3人の参加者ルーテシア・アルピーノ、キャロ・ル・ルシエ、フェイト・T・ハラオウンが所持していた道具があった。 だが、その後ヴィヴィオがキャロの遺体を完膚無きまでに破壊した際に力任せに攻撃を繰り返した。エネルにも匹敵する力を無尽蔵に加えればどうなるだろうか? その結末など考えるまでもない。その周囲にも破壊が及ぶのは当然の理。結論を言えば、そこに置かれていた道具の殆どは完膚無きまでに破壊された。 破壊を免れたのは惨劇の場から離れていた首飾り型のスバルのデバイスマッハキャリバー、破壊される事の無いラウズカード、本当に幸運にも被害を避ける事の出来た球体かいふくのマテリアぐらいだった。 余談だがフェイトの道具に関してはフェイトが事切れる前フェイトの手から離れていた。そのためフェイトの遺体自体は攻撃から免れたが道具に関しては破壊に巻き込まれている。なお、フェイトの遺体はその後ヴィヴィオによって何処かへ移送されている。 なお、マテリアにしてもマッハキャリバーにしても金居にとって未知のものである以上使用は不可能。当然だがマテリアの説明書きは攻撃に巻き込まれ消失している。 マッハキャリバーについてはマッハキャリバー自身がガジェット及び金居を敵と判断したため一切の応答を断っていた。 ルーテシアに利用されて持ち主のスバルを危険に巻き込んでしまった事もあり、もう二度と敵に利用されるつもりはなかった。利用されるぐらいならば壊された方がずっとマシだと考えている。 幸い金居は自身を知らない為、現状は何の変哲もない首飾りと思われている。それで十分だとマッハキャリバーは思考していた。 「さて、そろそろ動こうか――」 腹ごしらえも済みアジトへ向けて歩を進めようとした矢先、一発の銃声が響いた。無論方向はアジト方面である。 「どうやら俺が手を下すまでもなく争ってくれているようだな」 このタイミングならば内部に入り込み集団を瓦解させる事も襲撃して一網打尽する事も可能ではある。 しかし油断してはいけない、内部分裂の状況だからこそ襲撃を警戒する者もいるだろう。 「どうしたものか――選択肢は数多い――いや、俺が選ぶ道は1つか――」 【2日目 深夜】 【現在地 C-7密林】 【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状況】健康、ゼロ(キング)への警戒 【装備】バベルのハンマー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~ 【道具】支給品一式、トランプ@なの魂、砂糖1kg×5、イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、首輪(アグモン、アーカード)、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、デザートイーグル(4/7)@オリジナル、L、ザフィーラ、エネルのデイパック(道具①・②・③) 【道具①】支給品一式、首輪探知機(電源が切れたため使用不能)@オリジナル、ガムテープ@オリジナル、ラウズカード(ハートのJ、Q、K、クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(シグナム)、首輪の考察に関するメモ 【道具②】支給品一式、ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【道具③】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、クレイモア地雷×3@リリカル・パニック 【思考】 基本:プレシアの殺害。 1.プレシアの要件通りスカリエッティのアジトに向かい、そこに集まった参加者を排除するor仲違いさせる(無理はしない方向で)。 2.基本的に集団内に潜んで参加者を利用or攪乱する。強力な参加者には集団をぶつけて消耗を図る(状況次第では自らも戦う)。 3.利用できるものは利用して、邪魔者は排除する。 【備考】 ※この戦いにおいてアンデットの死亡=封印だと考えています。 ※殺し合いが難航すればプレシアの介入があり、また首輪が解除できてもその後にプレシアとの戦いがあると考えています。 ※参加者が異なる世界・時間から来ている可能性に気付いています。 ※変身から最低50分は再変身できない程度に把握しています。 ※プレシアが思考を制限する能力を持っているかもしれないと考えています。 ※放送の遅れから主催側で内乱、最悪プレシアが退場した可能性を考えています。 【全体の備考】 ※ガジェットドローンⅣ型×5@魔法少女リリカルなのはStrikerSがアジトより北にある各種施設に向かいました。以下の命令を受けています。 ・各種施設の探索及び破壊、確保した道具は金居の所へ持ち帰る。 ・施設に向かった参加者の殺害。 ※工場がガジェットにより破壊されています。 ※ゆりかご玉座の間に残っていた道具の殆どが使用不能になるまで破壊されています。もしかしたら何か使える物が残っているかもしれません。 ――ふと空を見上げる。そこには変わらぬ満月が彼等を照らしていた。 「ふっ、良い月だ」 キングはそう呟く。 「何か言ったか?」 「いや、別に」 アンジール・ヒューレーの問いかけをそう返したキングの心中は高揚していた。 月光はゲームの支配者である自分だけを照らしている。一方的に放り込まれ殺し合えと言われた時は良い気はしなかったが実際はどうだろうか? ゲームは幾つかの不測の事態があったものの概ね自分の思う通りに進んでいる。天も地も、そして全ての者達が自分の玩具であった。 月明かりは自分を祝福してくれると思えば良い気もするだろう。 E-9にある森林に2人はいた。D-2のスーパー跡地にいたはずの2人が何故ここにいるのか? そこで、少し時間を遡りつつ振り返っていこう。 そもそも2人はあの後逃走した天道となのはの追跡をしていた。逃走した方向に関しては戦闘時の立ち位置等からある程度予測出来た。その方向は西方向、故に2人はまず西へと向かった。 市街地の闇に消えた可能性も無いではなかったが敢えてその裏をかき、逆方向の平野へ向かった説もあるとキングは判断していた。 アンジールはそうではないが、キングにとってはここで2人を見失っても別段問題はない。只の戯れの1つ程度にしか思っていなかった。 結論から言えば2人を見つける事は出来なかったがその代わりにD-1に血痕をそれも比較的新しいものを見つけた。 「ふむ……」 「そんなものどうでも良いだろう、何もないなら市街地に戻るぞ」 「いや、そうでもないさ。何故こんな所に血痕が出来る?」 「ここで戦いが起こったからだろう?」 「アンジール、君はわざわざフィールドの端で戦ったりするか?」 「……そういう事か」 普通に考え参加者は人のいる市街地へ向かい当然戦いもそこで起こる。殺すにしろ組むにしろ参加者の足取りは端から中央、もしくは施設に向くのは当然の事だ。 だが、D-1はエリアの端にあり同時に周囲に施設はない。好き好んでここで戦いを起こす理由は皆無だ。しかもこの場所はD-1においても西側、ますますこの場所で戦う必然性に欠けるだろう。 「……試してみるか」 キングは更に西方向に足を進める。アンジールは何を考えているんだと思いつつ着いていくが――突然キングの姿が消えた。 「何?」 アンジールは慌てて追いかけた。そして気が付いたら景色が森に変わっていた。 「なるほど。プレシアの奴も面白い仕掛しやがって」 と、ゼロを演じる事も忘れ素の姿をキングはさらけ出していた。 「どういうことだ?」 「何、大したことじゃない。フィールドの端と端は繋がっているというだけの話だ」 一連の事から端と端は繋がっていてループするという事実に気が付いた。先の血痕の主もループしD-9へとワープしたのだろう。と、 「キング……お前主催者側の人間だったな、知らなかったのか?」 「私とてプレシアから全てを聞かされているわけじゃないさ。逃がさない仕掛をしているとは聞いていたがまさかループとは予想外だったという事さ」 「それでこれからどうする? 俺にとってはループなどどうでも良いんだが……」 「そうだな……状況から考えて2人もループを使って逃げた可能性が高い……」 キングは地図を見ながら 「よし、ホテルへ向かおうか。恐らくそこで参加者を集めているのだろう」 と、南方向へと足を進めていく。アンジールも後方のアジトを気に掛けながらもキングの後を着いていった。 「ところで――先程君は私をキングと呼んでいたが、私は君に名乗っていたかね?」 「……さっきの戦いで天道達がお前をそう呼んでいただろう。それを聞いただけだ」 「そういえばそうだったな。正直この姿の時はゼロとでも呼んで欲しいが……まぁいい」 その後、2人はF-9に辿り着いたがそこは崩壊したホテルと1人の半裸の男の死体しか残っていなかった。真面目な話半裸の男の死体など2人にとっては意味は無く、得る物も無い為早々にこの場から離れようとしたが、 「……あれは?」 キングは地面に何かを見つけその場所に向かった。そして 「これジョーカーのカードじゃん、何でこんな所に?」 とまたしてもゼロを演じるのを忘れカードを拾い上げる。それはハートのAのラウズカードだ。 「キン……ゼロ、そのカードがどうかしたのか?」 「いや、別に君に関係の無い事だ」 「それと同じようなカードなら向こうにもあるぞ」 と、少し離れた場所にも別のラウズカードが落ちているのが見える。 それらの位置から考え起こった事はある程度推測出来た。ホテルでジョーカーこと始は戦い激闘の末に封印された。その後、カードだけが風などで飛ばされて散っていったという事だ。 「アンジール、他にもカードが落ちているだろう。捜すぞ」 「ちょっと待て、こんなカードなどどうでも良いだろうが。何故……」 「おや、君は私に逆らえる立場だったかな? まぁ君が捜したくないというのなら別段構わ……」 「くっ……わかったそのカードを捜せば良いんだな?」 キングにとってラウズカードはある種最高の玩具、故にキングはそれを集めようとしていた。アンジールは渋々それに付き合いカード探索をした。 そして、キングの手元にはハートのA、3~10、9枚のラウズカードが集った。 「ふむ、ジョーカーとハートの2が無いのは些か妙だな……先に拾われたか?」 こうしてカード探しをしている内にE-9まで戻ったという事だ。どうやら風が北方向に吹いていたためカードも北方向に散らばりそれらを拾っていく内に北へ進んだという事だ。 「ゼロ、そういえばさっきからバックの中で何かが騒いでいるが何かあったのか?」 「ん? ああ、こいつか。只の人質だよ、連中を従わせる為のね」 なのはから奪ったフリードリヒはキングを警戒、いやむしろ嫌悪していた。キングのした事を踏まえるならばそれも当然の事である。 故に度々フリードは暴れだそうとしていたがデイパックに押し込まれていたが故に何も出来なかったのだ。 「人質程度で連中がお前に従うとは思えないが?」 「だが少なくとも私に刃向かう事は無いだろう」 「不意を突かれ奪還されるかも知れないだろうがな」 そう口にするアンジールの言葉を聞いてキングも少し考える。 確かに先の戦闘でカブトは自分から2つのデイパックを奪取している。2度も同じ事をされるとは思わないが警戒しておいて損はない。 「そうだな……ならコレは君が持っていたまえ」 と、フリードの入ったデイパックをアンジールに渡した。 「良いのか?」 「構わないさ、他にこれといった物は何もない」 「俺がコイツを殺すとは考えないのか?」 「ソレは参加者じゃない。殺した所で君にメリットは皆無だ。それに私の意に背いて殺したり逃がしたりなど君に出来るのか?」 「……もっともだな」 「もし私に何かがあればその時は……」 キングが追いつめられた時、アンジールがフリードに刃を突き付け連中を抑制しろ……その指示をアンジールは無言で頷いた。 連中もフリードをアンジールに渡しているとは思うまい。優位に立ったと思った所で絶望させる……そう考えキングは仮面の下で笑みを浮かべていた。 真面目な話、渡した理由の中にはデイパックの中で騒ぐフリードが正直疎ましく感じていたからというのもあった。 その最中、キングは地図を確認し次の目的地をスカリエッティのアジトに定めていた。恐らくホテルでの戦いを終えた者達はそこに向かっていると判断した。 「喜べアンジール、ようやく君の望む通り戦えるだろう」 強敵とも言うべきジョーカーもエネルももう退場済み、仮面ライダーであろうとも自分を倒す事は不可能。いざとなればフリードを人質にすればよい。 放送が10分遅れた事もキングにとってはどうでも良い話、主催側で何が起こっていようが自分はやりたい様にやるだけだ。 このゲームの支配者はプレシアではなく自分――そう考えキングは足を進めていた。 「(――全く、何をやっているんだろうな俺は……なぁセフィロス……)」 キングの後方でアンジールは空を見上げていた。 妹達を守る為に戦い続けたが結局何も守れず、生き返らせる為に戦おうとしても結局は主催関係者と語るゼロの手駒と化す状況、 「(これでは道化人形としか言いようがないな……)」 これまでずっと守る為に走り続けたアンジールにとってキングの指示に只従うという状況は結果として落ち着いて考える時間を与えてくれた。 結論から言えばアンジール自身、キングの言葉については疑心を抱いている。そう、キングがプレシアの手先であるという部分について嘘の可能性を疑っているという事だ。 前述の通りキングの名前を知っていた事に関しては斬りかかる直前天道及びなのはの口からキングの名前が出てきた事が耳に入ったからだ。それに対してキングが何と応えていたかまでは聞き取れてはいなかったが。 勿論、それだけでゼロがキングという名前だと判断出来るとは言い難い。しかし、少し時間が経過し考えている内にある事を思い出したのだ。 それはデパートのパソコンに残っていたメールのログ。そこにはキングに警戒しろという情報があった。その時点では特に気にしていなかったがそれを思い出した事を切欠にキングの存在とゼロを結びつける事が出来たのだ。 勿論、これだけならばキングが警戒すべき存在でしかない。だが、どうにもキングの言動を見る限り本当に主催者側の人間として働いている様な感じがしない。 突然口調が変わった事と言い、追跡すると言っておきながらカード集めに走った事といい、どうにも納得がいかない。悪く言えば遊んでいるとしか思えないという事だ。 しまいには主催側の人間といっておきながらループの事を知らなかったのも気になる。 そう、主催者側の人間という話自体が自分との戦いを避け同時に手駒にする為の口からでまかせという可能性に気付いたのだ。主催者側の人間でないならば従う通りは全く無い。 自分について妙に詳しかったのは別のカラクリがあったとすれば説明が付く。 それこそ当初考えた様にセフィロス辺りが自分の情報を売ったという説もあるし、自分がメールで情報を得たのと同様に何処かの施設で情報を得たという説もある。確かメールには施設を調べろという事も書かれていた筈なので情報を得られる可能性はある。 勿論、本当に主催者側の可能性もあるが仮にそうだとしても許せる存在ではない。 そもそもの話、クアットロを殺したのはキングではないのか? 仮に主催者側の人間であったとしても直接の下手人を許せる道理はない。 また、根本的な部分で引っかかる事がある。オットーが放送を行った件についてだ。勿論、これ自体はオットー達も主催者側にいるという事で説明が出来るだろう。 だが、一方でクアットロ達が参加者側にいる事が気になる。オットー達がいるならクアットロ達も主催者側の人間でなければおかしいだろう。 ではクアットロ達も主催者側の人間で参加者を攪乱するために送り込まれていたのか? いや、一度クアットロと接触した限りクアットロは自分を覚えていなかったしそういう役割を与えられていたという素振りも見せなかった。 勿論、記憶を操作した上でそういう役割を与えたという説もあるだろう。だが仮にそうだとするならばなおの事キングを許す事は出来ない。 キングは参加者の情報を与えられている一方、クアットロ達は記憶封鎖されている。何故こうも扱いに差があるのだ? キングや主催側に怒りを覚えずにはいられない。 そして最終的にはクアットロ達を斬り捨てた――オットー達もきっと主催者側に命を握られているのだろう。決して主催者達を許す事は出来ない。 だが現状では主催者の望み通り彼等に従い優勝を目指し妹達を助けるしか選択肢はない。それが真実という保証も無いが嘘だという確証も無い。故に今は従うしかないのだ。 同時にキングに対しても現状は従うしかない。キングに疑心があるとはいえこれまた確たる証拠が無い。もし本当に主催者側の人物だったら彼の機嫌を損ねれば最悪優勝しても願いは叶わない。 自分が状況に流されるだけの道化人形だという事は理解している。それでも願い事を叶えたいという想いだけは誰にも否定させやしない。 「(笑えよ――セフィロス――)」 友が今の自分を見てどう思っているかはわからない。妹達を守るために奴の大切な者――八神はやてを殺しておきながら結局何も守れなかった。 今の自分の姿はさぞかし滑稽に映っているだろう。 自虐はそこで終える。何にせよ目的地はある意味本拠地とも言うべきスカリエッティのアジト。全ての決着を着けるという意味ではある意味相応しい場所だ。 「(キング、今はお前に従ってやる。だが、クアットロを殺したお前を許すつもりはない――何れ落とし前だけは着けさせてもらう―― プレシア達もだ――妹達をこの殺し合いに巻き込んで只で済むと思うな――)」 敵意だけは決して消すことなく、道化へと堕ちてもなお兄としての僅かなプライドを残して戦士は行く―― 「そうだ――俺が選ぶ選択肢は――1つだ――」 「何か言ったか?」 「いや、別に」 【2日目 深夜】 【現在地 E-9】 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康 【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ラウズカード(ハートの1、3~10)、ボーナス支給品(未確認) 【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル 【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story 【道具③】支給品一式、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具④】支給品一式、いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER 【思考】 基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。 1.アジトに向かう。 2.他の参加者にもゲームを持ちかけてみる。 3.上手く行けば、他の参加者も同じように騙して手駒にするのもいいかも? 4.『魔人ゼロ』を演じてみる(飽きたらやめる)。 5.はやての挑戦に乗ってやる。 【備考】 ※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。 ※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。 ※八神はやて(StS)はゲームの相手プレイヤーだと考えています。 ※PT事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 ※天道総司と高町なのはのデイバッグを奪いました。 ※十分だけ放送の時間が遅れたことに気付き、疑問を抱いています。 【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】疲労(小)、深い悲しみと罪悪感、脇腹・右腕・左腕に中程度の切り傷、全身に小程度の切り傷、願いを遂行せんとする強い使命感、キングと主催陣に対する怒り 【装備】リベリオン@Devil never Strikers、チンクの眼帯 【道具】支給品一式、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本:最後の一人になって亡き妹達の願い(妹達の復活)を叶える。 1.キングと共に、参加者を殺す。 2.参加者の殲滅。 3.ヴァッシュのことが、微かに気がかり。(殺すことには、変わりない) 4.キングが主催者側の人間で無かった事が断定出来た場合、キングを殺す。 5.主催者達を許すつもりはない。 【備考】 ※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。 ※『月村すずかの友人』のメールを確認しました。一応内容は読んだ程度です。 ※オットーが放送を読み上げた事から主催者側にナンバーズの命が握られている可能性を考えています。 ※キングが主催側の人間という事について疑いを持っています。 月明かりに照らされながら終末の光へと誘われるかの様に虫の王達は一点へと集う―― それは偶然か? それとも必然か? 何れにせよ運命の決着は近い―― 決めてとなる切札は王の手にあるのか―― あるいは―― Back 罪(状態票) 時系列順で読む Next Pain to Pain(前編) Back 罪(状態票) 投下順で読む Next Pain to Pain(前編) Back Ooze Garden(軟泥の庭) 金居 Next Pain to Pain(前編) Back 闇よりの使者 キング Next Pain to Pain(前編) Back 闇よりの使者 アンジール・ヒューレー Next Pain to Pain(前編)
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1078.html
リリカル遊戯王GX 第七話 レイ救出作戦! 恋する相手はなのはさん!? 「十代、そういえばスバルに何か渡してなかったか?」 オブライエンが通風口からのルートを考えている間に、ヨハンは先ほど見たことを思い出して問いかける。 フェイト達を二人に任せ逃げる直前、十代はスバルへ一枚のカードを渡していたのだ。 「ああ、スバルが『モンスターに囲まれた時に一掃できるようなカードってないの?』って潜水艦で聞いてたんだ、それでさっきつい……」 「だけど、スバル達に魔法カードが使えるのか? ディスクもないんだろ?」 「それは大丈夫だと思うよ」 二人の会話になのはが入ってくる。 先ほどと比べ、大分落ち着いたようだった、ゆっくりとだがはっきりと自分の考えを話し始める。 「私たちが三沢君を助けた時に戦ったモンスターが、途中で三人に増えたり、何もない場所から突然装備をつけたりしてたんだ」 「あ、そういえば言ってたな……ハーピィ・レディが三沢を襲ったって」 「ということは、万華鏡―華麗なる分身―と何かの装備カードを自分で使ってことか……」 「うん、だからもしかすると、外部からデュエルに介入できる私たちにも使えるかもしれない」 なのはの説明に「なるほど……」と二人は頷き、突然自分たちのカードを取り出しじっくりと見始める。 「ど、どうしたの?」 「いや、それなら俺達の余ってるカードを渡しといた方が何かあった時いいんじゃないかな、って」 「ああくそっ、ほとんど寮に置いてきちまったぜ……お?」 目ぼしいカードが無く顔を顰めていた十代は、見慣れないカードがあることに気づいた。 「薄幸の美少女に恋する乙女に……十代、こんなカード持ってたのか?」 「わぁ、可愛いね、こんなカードもあるんだ」 「い、いや、これ俺のじゃないって!」 HEROカードがメインの十代からは、まったく想像できないカードに困惑する二人へ十代は慌てて否定し、 次の瞬間には真剣な顔でそのカード達を見つめ、ぽつりと呟くように説明する。 「これ……レイのカードなんだ」 「レイちゃんの……?」 「あいつ、結構俺にデッキの相談してくることが多くてさ、たぶんその時に紛れこんじまったんだと思う」 十代は神妙な面持ちでカードを見つめる、 そんな姿を見て、なのはは少し考えた後そのカードを手に取った。 「なのはさん?」 「このカード……使わせてもらっていいかな?」 「えっと、でも、レイのカードは攻撃向けの物は少ないぜ?」 「十代君……別に私、攻撃好きってわけじゃないんだけど~」 冗談半分に言ってみるが、十代は「え!? マジで!?」という表情を慌てて直し、 ヨハンも「そ、それだったらこっちも使えるな……」とカードの選定をし直すのを見て自分の行いを反省する。 ――そういえば、こっち来てから壁を撃ち抜いたりばっかりだったっけ…… 「と、とにかく使わせてもらうね。ありがとう」 「あ、ああ、でも効果とかよく見た方がいいぜ、結構分かりづらいのもあるし」 「うん、そうだね。時間ができたら見させてもらうよ」 なのはがカードをしまったところで丁度オブライエンがやってくる。 無理矢理開けた通風口へと入りこみ、思った以上に広いスペースで動きを止めた。 「こんなところにまで……!?」 十代達の前にゾンビ生徒が現れ、デュエルを迫ってくる。 どうするべきか思案していると、アモンが前に立ってデュエルディスクを展開した。 「アモン!?」 「こいつは僕が引き受けよう、みんなは先へ急ぐんだ」 「だけど、こいつは……!」 「大丈夫、危なくなったらすぐに逃げるさ」 「アモンさん……ありがとうございます!」 後ろ髪を引かれながら、その場をアモンに任せて十代達は先を急ぐ、 アモンはゾンビ生徒と向き合いながら内心ほくそ笑んでいた。 ――十代達に恩を売って信用を得ておいた方が動きやすい……まったく、これさえなければもう少し楽なんだが。 一瞬忌々しげにデスベルトに視線を向け、デュエルを開始する。 「クロスファイア、シュート!」 「はぁぁぁぁぁ!」 無数の魔力球をフェイトはザンバーフォームのバルディッシュで一気になぎ払う、 いくつかの魔力球を牽制に置いておきながら、ティアナは後ろへと下がり続けていた。 「動けないスバルから引き離そうとしてるんだ、優しいね」 「っ!」 「だけど、無駄だよ」 『Sonic move』 高速移動魔法でティアナの背後に回って斬りかかるが、まるでそこに攻撃されるのがわかっていたかのように、 ティアナはダガーモードのクロスミラージュで一撃を受け止める。 「その言葉、そっくりお返しします」 「なっ……」 「ゾンビになると思考能力も低下するみたいですね……いつものフェイトさんなら、何度も同じ攻撃はしてこない!」 叫びながらバルディッシュを弾き体勢が崩れたところへ魔力球を放つ。 一瞬で作り上げたため粗悪な代物だが、これでも顎に当たれば脳震盪を起こすことぐらいは可能だ、 決まった――そう思った直後、ティアナは彼女が一部で何と呼ばれていたのかを思い出す。 即ち――『金色の閃光』 『Sonic form』 「楽しいよティアナ……今のは、ちょっと焦っちゃったけどね」 「そん、な……!」 ティアナの戦術は完璧だった。 冷静に相手を観察し、以前にはなかった弱点をしっかりと見抜いて撃ち抜こうとした。 ただ一つだけ、見誤っていたのだ。 躊躇いを無くした彼女と自分の、生半可な戦術では埋めきれない能力差を、ソニックフォームの視認さえ不可能なスピードを。 「ティア!」 「っ!?」 スバルの声に我に返り、よろめくように一歩後ろに下がる。 その目の前をやはり視認できるか否かの速さでバルディッシュが通り抜け、ようやくこの状況を切り抜けようと思考が回り始めた。 「ティア、クロスシフト……!」 「無理に決まってるでしょ!? 少しは自分の状況を考えなさい!」 ダメージの残る体を無理矢理起こして言うスバルにティアナが叱責を飛ばす。 危機的状況にお互いのチームワークが乱れてきた……知らない者ならそう思うだろう、 だが、二人は口で言い争いながら念話で作戦を立て直していた。 『ソニックフォームのフェイトさんについていくのはまず不可能……切り札を使うしかないわ』 『でも、受け取っておいてあれだけど本当に使えるのかな……?』 『それは大丈夫だと思うわ、問題は発動条件ね』 スバルが十代から受けとったカードを中心に思考を回す。 そのカードは「ライトニング・ボルテックス」手札を一枚捨てることで相手の場の表側表示のモンスターを全て破壊する魔法である、 使用できるならばこれはかなり強力だ、例え相手がどれだけ強くても無条件で倒すことができる。 だが――その強力すぎる効果が逆に不安だ、もしもフェイト達がモンスターを倒した時のように消滅してしまったらなのは達とは二度と顔を合わせることができない、 それに『手札を一枚捨てる』という発動条件、これをどう支払うか? ――最初に思いつくのは魔力を消費する……だけどこれだけの威力なら、カートリッジ数発分は必要かもしれない。もしくは装備の破棄……こっちは後に響くわね…… 思考を巡らせながらもティアナはだんだんと下がり始める。 ソニックフォームのフェイトの攻撃は繰り出された瞬間には終わっている、 勘と経験から基づく予測でなんとか防いではいるが、一撃一撃がギャンブルなこの状況に精神の方がまいってしまう。 ――後一つ、発動してくれるかどうか賭けだけど……これなら、必要な魔力も最低限ですむし、リスクもない。これに賭ける! 「スバル、貸して!」 「うん!」 一気に無数の魔力球を生み出し、フェイトが思わず足を止めた瞬間スバルからカードを投げ渡される。 目の前にあるのが魔力球の形を模しただけのほんのわずかな魔力の集まりであることに気づき、一気に切り崩そうとしたフェイトへカードを突き付けた。 「マジックカード! ライトニング・ボルテックス発動!」 ティアナの宣言と同時に、その体が消えていく。 「自分を、コストに……!?」 フェイトはまったく予想していなかった光景に呆然とし――その体に容赦なく雷が襲いかかる。 「うわぁぁぁぁぁぁ!?」 「ふぇ、フェイトさん……」 想像以上の威力にスバルは呆然と呟く。 幸いにも考えていたように消滅はしないらしく、今のアカデミアの状態ならば問題は無いだろう。 ……自分たちが受けたら一発でゾンビの仲間入りだろうが。 「スバル、動ける? 復活される前に拘束しておかないと」 「あ、うん! 今のでバトル終了ってことかな、怪我は治ってるよ! ……まだ痺れるけど」 消えたはずのティアナが傷が本当に治っていることを確認しながら問いかける。 種を明かすなら、フィエクシルエットによって生み出した分身をコストとして使えないかどうか試し、それに成功したというわけだ。 そのままフェイトとエリオへバインドをかけ、一瞬動きを止めた後に慌ててスバルの側に駆け寄る。 「スバル、まずいわよ……」 「うん、気づいてる……囲まれてる、ね」 あれだけ派手に戦闘をしていたのだから当然かもしれないが、ゾンビ生徒達の気配がこちらへ集まりつつあった、 怪我こそないものの、ダメージは抜けていないし魔力も消費している、頼みの魔法カードも先ほど消えてしまった、どうやら自分たちが使えるのは一回限りらしい。 かなりつらい状況の中、二人はゾンビによる包囲を突破しようとフェイトとエリオを抱えながら駆け抜ける。 「くっそー、こっちには時間がないってのに……!」 通風口で大分距離を稼いだ十代達は、少しだけ空いたドアの陰に隠れながらゾンビ生徒をやり過ごす、 だが、次々とやってくるせいで中々前に進むことができなかった。 焦れる十代達だったが、突然カレンが鳴き出してジムに何かを訴える。 「カレン?……そうか、俺達の番だな、OK!」 「ジム!?」 ジムが突然飛び出し、側にいたゾンビ生徒の注意を引く。 慌てて駆け寄ろうとした十代を制し、ジムは叫ぶ。 「十代、先に行ってくれ! ヘイ、ゾンビボーイ、俺が相手になるぜ!」 「ジム……くそっ!」 「フリード、ブラストフレア!」 キャロの指示でフリードが火球を吐き、進路上のゾンビ生徒達を下がらせる。 そのまま明日香達と共に駆け出し、ある通路に来たところで明日香が立ち止まる。 「どうしたんですか?」 「その、余計な御世話かもしれないけど……こっちからあの二人が足止めに残ってくれた場所まで行けるのよ」 「っ!」 「そうザウルス、こっからなら俺達だけでも大丈夫ドン! 助けに行ってあげて欲しいドン!」 二人の言葉にキャロは悩む、スバルとティアナだけではない、エリオとフェイトもキャロにとって何にも代え難い人物だ、 今すぐにでも駆け出していきたいところだった、だが―― 「いえ、私は皆さんの護衛を続けます……フリード、お願い!」 「キュルゥ!」 キャロの声にフリードが一声鳴いてスバル達の下へ向かう。 「キャロちゃん、どうして……?」 「私はなのはさんに二人の護衛を頼まれました、私の今の任務はお二人を守ることです……それに、スバルさん達ならきっと、大丈夫です!」 「……わかったドン、キャロちゃんがそういうなら、俺達もあの人たちを信じるザウルス!」 「そうね……なら急ぎましょう、またゾンビ達が集まってくるわ」 「はい!」 ――エリオ君、フェイトさん……また、一緒にいられますよね…… 十代達は保健室のすぐ近くまでやってきていたが、またも多数のゾンビ生徒によって足止めを喰らう。 「くそっ、いったい何人がやられちまってるんだよ!?」 目的地は目の前だというのに動きが取れない、そんな状況に十代は焦りを募らせる、 いつあのゾンビ達が保健室の中に突入するかもわからないのだ、今すぐにでも飛び出していきたいところだろう。 「十代、こっちだ」 「え? オブライエン?」 オブライエンが呼びかけてくるが姿が見えない、 ふと頭上を見上げると、天井裏からオブライエンが顔を出していた。 「俺が表の連中を引き受ける、その間にお前たちはここから内部へ突入しろ」 「で、でも、それじゃオブライエンが危険だ!」 「問題ない、うまくやる」 「だけど……」 「大丈夫、私も一緒に行くよ」 なのはがレイジングハートを起動させながら言い、十代とヨハンは仕方なく頷いて天井裏へと昇る。 入れ替わりに降りてきたオブライエンとなのはは、通路の影から保健室の前の様子を窺いながら作戦を立てる。 「どうする? 陽動なら私が一発撃つだけで相当来ると思うけど」 「いや、それではあの数が一斉にそちらに向かってしまう。デュエルはほとんどの場合一対一で行われる、複数に迫られても影響の少ない俺が出る」 「わかった、何人か足止めして、撃退したら援護に行くね」 「頼む」 無愛想だが、冷静に判断を下していくオブライエンになのはは感心する。 留学生とは言っていたが、彼とてこのアカデミアの一員だ、 仲間があのようになってしまっても冷静さを失わないというのは多少冷たいとも思うが、それ以上に今の状況を把握しているからだろう。 なのはは自分が情けなく感じてしまう、フェイトがやられた時、何も考えずにエリオを吹き飛ばしていた、 結果的によかったものの、もしもゾンビだったのがフェイトで、エリオはそれを迎撃していたのだとしたら目も当てらなかっただろう。 「どうした? 準備はいいか?」 「あ、うん、いつでも!」 「ならば……行くぞ!」 オブライエンが飛び出し、口笛を吹いてゾンビ達の注意を引き付ける。 そのまま駆け出すオブライエンをゾンビ達は追いかけ、後方にいた五人ほどがなのはのバインドによってその場に拘束される。 「私のバインドじゃこの人数が限度……後は、アクセルシューター!」 更に数人を魔力ダメージで昏倒させようとするが、すでに一部のゾンビ達がオブライエンよりもなのはを狙ってディスクを構えていた、 そのうちの一人が前に出て、一体のモンスターを召喚する。 「これは……魔道士!?」 ―熟練の白魔術師― 攻撃力1700 防御力1900 効果モンスター 更にカードが伏せられるのを見てなのはは焦る、 マジック・ジャマーのような罠を使われてはかなり厳しくなる、その焦りから一気に片付けようと単調な攻撃になってしまう。 「ディバインバスター!」 「トラップカード……魔法の筒(マジックシリンダー)……」 魔力砲撃とモンスターの間に巨大な二本の筒が現れ、そのうちの一本になのはの魔法が吸い込まれていく。 未知の物質になのはは警戒し、もう一本の筒からディバインバスターがなのはに目がけて撃ち出された。 「相手の攻撃を跳ね返す罠!? レイジングハート!」 『ProtectionEX』 咄嗟に障壁を張って自らの砲撃を受け止める。 正直想像以上の威力に、つい今まで模擬戦などで直撃させた人たちに心の中で謝りつつ砲撃を凌ぎ切った。 そのまま相手を見るが、ゾンビ生徒はわずかに笑みを浮かべているように見えた。 「魔法カード……エルフの光……」 モンスターが淡い光に包まれ、なのはは何かの攻撃が来ると身構えたが、ゾンビ生徒はそのまま言葉を続ける 「熟練の白魔術師の効果……魔法が使われるたびに魔力カウンターを乗せ、三つ溜まった時生贄にすることで……」 言葉と共にモンスターの姿が消え、新たな騎士のようなモンスターが現れる。 なのはの本能が、そのモンスターが今までの相手とは比べ物にならない相手だという事を告げていた。 「バスターブレイダーを、特殊召喚する……」 ―バスターブレイダー― 攻撃力2600 防御力2300 効果モンスター バスターブレイダーは有無を言わせずなのはに斬りかかり、なのはは近づかせないように砲撃を放つ。 なのは一人のこの状況で、自分の懐に飛び込まれたら終わりなのを彼女は誰よりもわかっていた、だからこそ迎撃しようとしたが―― バスターブレイダーの剣は魔力砲撃を斬り裂き、その衝撃波がなのはを襲いかかる。 「あうっ……!」 「連弾の魔術師召喚……」 なのはが目の前の相手の対処に思考を巡らせる間にも、別のゾンビ生徒によって新たな魔道士モンスターが召喚される。 ―連弾の魔術師― 攻撃力1600 防御力1200 効果モンスター その光景を視界に入れながら、なのはは思考を巡らせ続ける。 自分が最も得意とする砲撃魔法が撃ち負けた、まだ彼女にはエクシードモード、更には切り札のブラスターモードもあるが、 それで勝てる確証がない以上危険だ、万が一撃ち負けた場合今度は確実に間合いに入られてしまう。 ――そうなると、これに賭ける! なのはは後ろに下がり続けながら懐からカードを何枚か取り出しざっと目を通す。 ――十代君の言った通り直接戦闘に向いたカードは少なそう……相手のモンスターを自分のコントロール下に置く!? テキストを流し読みしていると、その一文に目が止まり迷わずそのカードを使う。 「魔法カード、キューピッド・キス発動!」 キューピッド・キスのカードが消滅し、なのはの右腕にハート型の可愛らしい弓矢が装着される。 目に止まった一文以外よく見ていなかったなのはは一瞬きょとんとするが、バスターブレイダーが迫って来たのを見て慌ててその矢を放つが、 あっさりと矢は弾き飛ばされ、なのはは再び衝撃波で吹き飛ばされてしまう。 発動条件を間違ったか? そう思い諦めずに別の手段を模索するが、その暇もなくバスターブレイダーはなのはへと迫り―― 「好きだぁぁぁぁ!!」 告白した。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぇ?」 言うまでもなく、なのはは美人の部類に入る。 局でも人気はかなり高いのだが、いかんせん高根の花というイメージや、某金色の閃光の影響から告白されたことは今まで一度もなかった。 そして今、人生初の告白というものを受けたのだ――モンスターから。 ――えっと、え? 好きってあれだよね、所謂likeっていう……だってこの人モンスターだもんね? そういえばモンスターも喋るんだ、そういえばおじゃまトリオも喋ってたっけ……ってそうじゃなくて! 全力全開で現実逃避に走っていた思考を無理矢理戻し――現実を見つめた自分に後悔する。 「ええっと、あの……?」 「あんたの決して諦めないその姿勢に惚れた! 俺はあんたに協力する!」 「そ、それはありがたいんですけど……す、好きってどういう……」 「だから、結婚を前提に付き合ってほしい!」 ――助けてフェイトちゃぁぁぁぁん!! 思わずスバル達と戦っているであろう親友に助けを求めるが、バスターブレイダーは突如振り返って剣を振るう。 その一太刀で連弾の魔術師は切り裂かれ、なのはをかばうように剣を構える。 「彼女には指一本触れさせん! かかってこい!」 ――た、頼りにはなりそうだけど……ど、どうしよう…… 続く 十代「レイを救うんだ……そのためにも、こんなところでやられてたまるか!」 ティアナ「戻らなきゃ……みんなを、守らないといけないんだ……!」 次回 リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア! レイ「じゅう、だい……!」 ティアナ「頼りにしてるわよ、チビ竜!」 十代「今回の最強カードは二枚!」 ―スターズ2 ティアナ=ランスター― 風属性 魔法使い族 ☆4 攻撃力1400 防御力1100 自分の場に「スバル」「なのは」「フェイト」という名が付くモンスターがいる時、その枚数×200ポイント攻撃力がアップする。 このモンスターが表側表示でいる時、魔法カードの発動条件を無視して発動することができる、この効果は一度しか使えない。 ―高町なのは(キューピッド・キス)― 光属性 魔法使い族 ☆6 攻撃力2400 防御力2300 このカードは「スターズ1 高町なのは」として扱う。 このカードは「キューピッド・キス」を装備した「スターズ1 高町なのは」を生贄にすることでのみ召喚できる。 このカードが表側攻撃表示でいる限り、戦闘では破壊されない。 このカードが攻撃したモンスターは、ダメージステップ終了後破壊されていない場合自分のコントロール下に置く、 そのカードが自分の場にいる限り、このカードは表示を変更できず攻撃もできない。 このカードが破壊された場合、「スターズ」「ライトニング」と名のついた魔法使い族以外の自分の場のモンスターは破壊される。 なのは「うう、これからどうしよう……」 十代「じ、次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/471.html
第一訓 ツインテールに悪い奴はいない 第二訓 傀儡兵は魔術師が責任を持って最後まで相手をしましょう 第三訓 小説版なのはには中二病的な物が潜んでいるから気を付けろ 第四訓 第一印象がいい奴は魔術師にはいない 第五訓 10年たってもあだ名で呼び合える仲間を作れ 第六訓 お前ら闇の書なんて作ってる暇があるなら学校にでも行ってきな 第七訓 一度狙った魔術師は死んでも落とせ 第八訓 カッコよさとダサさは紙一重 第九訓 魔法はグーでやるべし 第十訓 疲れた時は甘い物を 第十一訓 弾幕使う魔法少女なんてなぁ魔法少女じゃねぇバカヤロー 第十二訓 全世界の魔術師ども日本は守れ 第十三訓 原作で生まれるのは青白いモノばかり 第十四訓 バリアジャケット着るならキャラまで変えろ 第十五訓 魔術師にはデバイス使えて一人前みたいな訳のわからないルールがある 第十六訓 考えたらリリカルなのはってスピンオフ作品じゃねーか!って凄ッ!! 第十七訓 魔法少女だってほぼお前らと同じことやってるんだよ 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1777.html
第2話 魔法のある世界 剣崎達はティアナ達に連れられて、この世界のことを知る人物がいるという場所に向かっていく途中である。 「すみません。剣崎さん、飲み物持ってもらっちゃって。」 「いいっていいって。」 「ところで、この場所知っている人ってどんな人?」 橘がそう聞くとスバルが答えた。 「え~と、元々はこの世界に住んでたって聞いてます。今は任務があるからって私たちも来たんです。」 スバル達が会話しながら歩いていると、その人物がいるところに着いた。 「ここなのか?」 「はい」 剣崎達が着いた瞬間この世界の住人なのはとフェイトとはやてが剣崎達のところに来て 「あなた達がティアナが話してた人たち?」とフェイトが問いかけた。 「はい。そうですけど・・・。」「じゃあ、名前教えてくれるかな?」 「俺は剣崎一真だ。」「橘だ。」「・・・相川始だ。」「俺は上城睦月です。」 と剣崎達は自己紹介を終え、はやて達も紹介を終えこの世界のことを説明を始めた 「では説明します。ここはあなた達がいた世界とは違います。」とはやてが言う 「え?そんな・・・」「バカな・・」剣崎達はショックを隠せない。 「でも、ここは日本ですよね?」「はい。ここは日本の海鳴市。ティアナから報告があったんやけど、 あなた達が戦ってたのは一体なんです?もしかしたら私たちも協力しますんで。」 剣崎達は先ほど戦ったアンデット達のことそして、バトルファイトのことをはやて達に話した。 「もしかしたら、スカリエッティが関係してるかも・・・」 「スカルエッティ?誰だそいつ?」フェイトはスカルエティや今まで起きたことを剣崎達に話、そして 「よし、じゃあ俺たちの世界が危ないけどこっちも危ないから、俺は協力するよ。」と剣崎が言った。 「け、剣崎?」「剣崎さん?本気なんですか?」橘と睦月は協力には否定して、始は「俺は剣崎に 賛成してる。今の状況を考えてみろ。」それは始が珍しく橘と睦月に言って 「もしかしたら、 あなた達が追っている天王路って人もスカリエッティに協力している可能性があると思うんだけど」 フェイトがそういって「たしかに・・・今はここで争っている場合じゃない。」 橘がはやてに向かってこういった 「俺たちしばらくの間協力する。それでいいか?」橘が言って「本当ですか~?ありがとうございます。」 「だけど、そのまえに、任務があるんだけど協力してくれるかな?」となのはがいい。 「あなた達の力もみたいしね」フェイトもこういい。 「じゃあ、剣崎さんと始さんはスバルとティアナのところで、橘さんと睦月さんはエリオとキャロのところでいいですか?」 「「「「ああ」」」」 始と睦月は何かに気づいた 「なあ、いつから俺は相川さんから始さんになったんだ?」「俺もそう思った。」 「え?ああ、それはやね、え~と・・・」とはやては顔真っ赤になっていた。 「始さんてお兄さんって感じがするんよ~。うち兄弟いなかったから」 「そうか・・・悪いことをした」始は謝った瞬間 「はやてちゃん。クラールヴィントが対象をキャッチ」 「みんな。頼むよ」 「「「「はい」」」」と新人フォワード達がいい 「俺たちもやるぞ。」 「「ああ」」「はい」 剣崎達も戦闘の準備を始めた。 そして、任務が開始された。 「マッハキャリバー」 「クロスミラージュ」 「ストラーダ」 「ケリュケイオン」 「「「「SET UP」」」」 彼女たちが自分たちの相棒をの名前を呼んで。先ほどの服が代わった。 そして剣崎達は自分たちのバックルを出し 「「「「変身」」」」 剣崎、橘、睦月の前にカテゴリーAが描かれた光が現れ剣崎はブレイドに、 橘はギャレン、睦月はレンゲルに変身し、始はマンティスアンデットの力を借りカリスに変身した。 「これが、剣崎さんたちの力なんや・・・」そうはやてがいい。 ブレイドとギャレンはラウズアブゾ-バーにQとJを入れ。 「「アブソーブクイーン」」「「フュージョンジャック」」 ブレイドとギャレンはジャックフォームとなった。 そして、その相手が剣崎達にとっての初出撃となった。 「よし。今だ。」 「サンダー、スラッシュ」 「ドロップ、ファイアー」 「トルネード、ドリル」 「スクリュー、ブリザード」 「ライトニングスラッシュ」 「バーニングスマッシュ」 「スピニングアタック」 「ブリザードゲイル」 「ディバインバスタァァァァー」 「クロスファイアー・・・・シューーート」 「一閃必中・・・・はあああああああ」 「フリード、ブラストフレア、ファイア」 「対象からレリックを確認リィンお願いできる?」 「はいですぅ。」 剣崎達のお陰で任務が終わり剣崎達はなのは達が今住んでいる、ミッドチルダに移動した。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3563.html
~フロシャイムミッドチルダ支部アジト(仮)~ 「フロシャイムの怪人たちよ良くぞ集まってくれた…」 普段とは打って変わり薄暗い居間にて、ヴァンプは壁にかけたフロシャイムのロゴを背に立っている。そしてそれを囲むように怪人たちが集まっていた。 「明日行う作戦について話そう…まず当日は3つのグループに別れてもらう。1号、2号、タイザ!アジトに残り守りに徹するのだっ!!」 「「「キーッ!!(ハイ!!)」」」 「次にデビルねこ、Pちゃん改…お前達は緊急時に備えアジトにて待機。そして残るメダリオ、カーメンマン、ウサコッツは私と共にリニアレールで聖王医療院へと向かうのだ!!何か質問はあるか?」 「ハッ!ヴァンプ様、何故病院へ向かわれるのですか?」 一通り説明が終わった所で1号から質問が出る。それに対しヴァンプは作戦時独特の口調で答えた。 「1号よ、これは我々にとって重要事項なのだ。それは… 聖王医療院に入院されておられる元参謀、ミレガス樣のお見舞いだ!!」 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語はミッドチルダにて繰り広げられる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― FIGHT.03『遭遇、命無き兵団!!』 「んしょ、え~っと聖王医療院前は…あったこれだ!!」 駅に着いたヴァンプ達一行は切符を買うために券売機に向かおうとし、そこでウサコッツが「あ、僕やる~っ!!」と元気よく言い、ヴァンプは彼に頼むことにしたのだが… 「あ、小銭が足りない!?え~っとないからお札を…『投入金が不足しています』あ~もぅ五月蝿いなぁ~っ!!」 小銭が足りずにモタついてる所を音声案内に催促され、それにうんざりしながらも切符を購入出来た。 「はぁ~やっと買えたよ…いつも思うけど券売機とかって少しでもモタつくとすぐに催促するよね、10秒弱で。 友愛も子ども手当てもいいけどさ…『待ってあげる優しさ』って言うのも大切だと思うよ。最近はそう言うのが蔑ろにされ過ぎだよね全く…あ、ヴァンプ様~切符買えたよ!!」 「ありがとうウサコッツ。さ、皆ホームへ行くよ」 ウサコッツから切符を受け取った一行はリニアレールへと乗り込んだのだった… 「うわぁ~速い速い!!」 「相変わらずお子ちゃまだなぁ~ウサは(笑)」 「ほらほら二人とも、周りの人に迷惑になっちゃうから静かにね。ん?どうしたのカーメンマン?」 初めて乗るリニアに興奮しているウサコッツとそれを茶化しているメダリオに注意をしていたヴァンプは顔を下に向けて憂鬱そうにしているカーメンマンに気付き声をかけた。 「いや、これ(リニア)だと聖王医療院まで遠回りじゃないですか。笹塚~下北沢を徒歩じゃなく新宿経由で向かう感じで。車だともっと早く行けたからなぁって思って…あぁ無理してでも持ち込んどけば良かったよなぁ~」 ミッドチルダの交通事情は溝の口や日本の都市部と比べ、お世辞にも良いとは言えない。 リニアレールは設置こそされているがそれはミッドチルダ全域を山手線の様に円上に走っているのみであり地上本部のある中心部、首都クラナガンへ向かうにはバス等が主流となっている。 この背景には太陽光発電や水素と酸素を化合させ、発電する燃料電池など環境に配慮した所謂エコカーが低価格で普及しており、 地球と比べ軽自動車クラスなら一般家庭でも容易に手が届くことで、車社会に拍車をかけている要因として挙げられる。 特に最寄りの駅まで徒歩40分以上かかるなど公共の交通機関があまり充実していない六課の周辺地域はそれが顕著だ。 そしてカーメンマンが浮かない顔をしているのは今回のリニア利用の件だけでなく、アジトからかなり離れた場所にあるスーパーへ買い物に行くヴァンプ将軍を思ってのことだ。 自分達も荷物運びを手伝っているとは言え、決して若いとは言えないヴァンプが週に何回も店とアジトを往復している姿を見ると「手続きが面倒だから」「動力部の規格を変更すると高いから」と言って持ち込まなかった事を申し訳なく思う。 他にも理由はあるがそれが一番大きな理由だ。 「カーメンマン、ありがとうね。皆の為に色々と考えてくれているだけで、私は充分に嬉しいよ」 「ヴァンプ様…」 いつもの温厚さに加え、ヴァンプの表情はどこか嬉しそうな感じだった。実の所ヴァンプはカーメンマンが悩んでいた事も、それが車に関する事であったのも知っていたのだ。 なぜならちゃぶ台のカーメンマンがよく座る周辺には「管理世界への規格外車持ち込み手続きのパンフ」や「動力部変更の見積りサービスのチラシ」等が置いてあったからだ。 だがそれがなくとも長い付き合いである彼らには何となく察しが着いていたようである。 「こういうの(リニア)に乗れるのって滅多に無いからね。それに歩くのだって立派なトレーニングだよ? 買い物と一緒にやれば一石二鳥だと思うの、私。だからカーメンマンが悩むことはないと思うよ」 「そーそー、車だってアントキラーに預けてあるんだろ?だったら別に良いじゃんかよ」 「それが余計に心配だっつーの!!あぁ絶対キズ付けるってアイツ。コ○ルカモ補償入ってないのに~」 「も~考えすぎだよカーメンマン。アントキラーはとても君の事を大切にしているんだよ。兄弟なんだし信じてあげる事も大切だと思うの、私」 槍と盾を網棚に乗せ、ヴァンプはいつの間にか寝てしまったウサコッツを抱えながら、カーメンマンをやんわりとたしなめる。カーメンマンは(アントキラーに関して)納得のいかない様子で、サングラス越しに景色を眺めながら「ウ~ン」と唸っている。 だが実際の所、アントキラーは兄の車をマンションの地下駐車場にシートをかけて丁寧に保管しており、自身の負担で車検やメンテナンスにも出している。そして遠出をする際には専ら、中古で購入したヒーロー風の赤いバイクを乗り回しているのだった。 そしてメダリオの「所で何でまたこのメンバーで行くんですか?」と言う問いにヴァンプは「やっぱり知ってる顔ぶれでいった方が向こうも安心するでしょ」と答えた所でちょうど聖王医療院前へと着いた。 ヴァンプ達は院内へと向かうのだが、普段常に持っている筈の『何か』を忘れていたのだった… ~聖王医療院、内科特別病棟・個室203号室~ 「おぉ~よく来たなヴァンプ!!」 くたびれた頭巾を被った老人、ミレガスはベッドから身を起こし点滴と腕を繋がれながらも元気そうに迎える。 「ミレガス樣、お久しぶりです」 思ったよりも元気そうな姿に安堵しながらヴァンプはセンヌキヤのフルーツバスケットを手に深々とお辞儀をし、他の怪人達もそれにならい挨拶をする。だがそれも「あ~そう畏まんな」と一蹴されてしまう。 「いえ、でも思ってたよりもお元気そうで良かったです。肺に影って聞いた時は心配しましたから…」 「まぁ良性だったからなぁ~それにこんなナリ(改造人間)だがこっちにもその手の技術があってな、医療技術も保険もミッドのが良いからこっちに来たのさ。 おかげでこの通りピンピンだ。いやぁ~しかし悪いな、折角来てくれたのにこんな状態で」 「そんな無理をなさらずに、ミレガス樣にはミッドチルダ渡航の手配をして下さいましたし…また日を改めてお礼に伺います」 「ま、こっちにもそれなりのパイプがあるって訳だ。だから礼なんぞ気にすんな 。ちゃんと次元征服に向けてのノウハウを学んでくれりゃあ問題ないからな」 「あ…はい、私たち頑張ります!!」 ミレガスの元フロシャイム参謀とは思えない言葉にヴァンプ達は表情を引き締めて答える。その後はミッドチルダでの暮らしや最近仲良くなったはやて達六課の人々の話などに華を咲かせ、平和な時間が過ぎていった… ~ミッドチルダ山岳地区リニアレール付近~ 「皆よく頑張ったね。それに初陣とは思えない位よく動けてる。これはメニューを組み直さないといけないかな…」 空中のガジェットを迎撃していたなのははキャロがフリードの制御に成功しエリオと共にガジェットを殲滅、ティアナとスバルもエリックを確保出来たと言う連絡が届き皆が無事だったことに安心していた。 だがそれ以上に嬉しかったことがある。それはフォワード陣の活躍だ。正直に言うともう少し手こずるかと思っていたが、皆が冷静に対応し予想以上の動きを見せてくれた。教え子達の思いがけない成長を思うとデバイスを握る手にも俄然、力がこもる。 「後はスバルとティアナが貨物車から客車を通ってリィンと合流、そして私たちが残りの空域にいるガジェットを殲滅すればミッションコンプリートだね。頑張ろう、フェイトちゃん」 「うん。エリオとキャロも頑張ったんだし、私たちもウカウカしてられないよ」 だがなのはとフェイトの二人が残りのガジェットに向かおうとした時、ロングアーチから緊急連絡が入った。 『こちらロングアーチ、衛星カメラにて現場に高速で接近する未確認物体を確認!!距離…これは!?』 「どうしたのシャーリー?」 『こちらでも確認できたです!!現在は減速してるですが最高瞬間速度は78km/s、とっても速いですぅ!』 リィンのから報告を聞き、なのはとフェイトは二人の驚きに納得しつつも警戒レベルを上げる。瞬間的とは言え秒速78kmを叩き出すような相手だ。 このタイミングで現れると言うことはガジェット側の援軍である可能性が高い。そう思い身構えていると予想外の事が起こった。 私たちを囲んでいたガジェットの群れが、やっと視認出来る距離にまで接近しているアンノウンに向かっていき、攻撃を仕掛けたのだ。 まるで私達よりもアンノウンの方が脅威であると判断したかのように…そして内包しているミサイルやレーザーを一斉掃射する。 対するアンノウンは光る微粒子を撒き散らし、赤い光を放ちながら輝いていた。 赤く発光している為に詳細な姿はまだわからないが、ソレは雨霰の如く降り注ぐミサイルやレーザーをまるでその隙間を縫うように舞い踊る様に、残像を残しながらアクロバティックな動きで回避する。 さらにそのすれ違い様に、発光しているソレは迫り来るガジェットの群れを体当たりで貫いていった。 そして半数以上のガジェットが撃墜された所でソレから赤い輝きが消え、姿を表した。 光が消えた先に有ったのは小さな体。 サッカーボール位の鮮やかな黄緑色をした小鳥の様なぬいぐるみとその下に抱えられている角が生えたオレンジ色の猫型ぬいぐるみ。 そのクチバシや角にはガジェットの物と思われる塗料や鉄屑がこびりついている。 そこでなのはとフェイトは思い出す。忙しかった為にまだ顔合わせ程度の挨拶と自己紹介しか済ませていないが、フロシャイムに所属している子達、確かデビルねこ君とPちゃん改だった筈だと… ならば援護に来てくれたのか?否、ここで楽観視する訳にはいかない。 相手はまがりなりにも悪の組織だ。レリックを目当てに現れた第三勢力の可能性だってある。 私達が会ったときの印象、はやてやリィン達ヴォルケンリッターからの話を聞いた限りでは信じたいが公私を分けて行っているのかもしれない。 そんな緊張感が漂う中、二人?は私達には特に何もせずにリニアへと向かう。やはりスターズの二人が持つエリックが狙いなのか? すぐさま追いかけたいが周りにはまだガジェットが残っている為、そのまま行けばガジェットもセットとなりフォワードが新たな危険に陥る可能性がある。 だがその愛らしい襲撃者達はまだスターズの二人がいる筈の貨物車を通り越し、客車の屋根を突き破って車両内へと入っていった。 なぜ遠回りをするのか、待ち伏せか、あるいは客車にもレリックがあったのか?様々な可能性が頭をよぎる。 そんな時、ロングアーチのはやてから直接通信が届いた。 『なのはちゃん、フェイトちゃん心配あらへん。あの子らは敵やない…残りのガジェットの掃討を頼むわ』 「………はやて、信じても大丈夫なんだよね?」 無論フロシャイムをという意味だが、フェイトはディスプレイに映るはやての表情を確かめながら問う。 『あぁ、大丈夫や。せやからそのデカイ胸をドンと張って行ってきぃ』 はやての表情や様子からは焦りなどは見られない。寧ろジョークを言える位の余裕はあるみたいだ。 つまり私達がまだ知らない何か判断材料があったのだろう。そう考えるとなのはは自然に頬が緩んでいた。 「わかったよはやてちゃん、後でお話聞かせてね。行こうフェイトちゃん」 なのはは先程のはやてのセクハラに狼狽え、赤面しながらあぅあぅ言っているフェイトを連れて残りのガジェットの掃討へ向かう。 最後に笑顔で「それとさっきのセクハラ、次はないからね?」と言い残して… ~六課、ロングアーチ指令所~ 「はぁ~さっきのなのはちゃん恐かったわぁ~」 二人との通信を切ったはやては息を吐いて緊張気味になった体を落ち着かせる。そして表情を改めて引き締め、 部隊長の顔へと戻した。レリックも確保した。フォワードも無事、残りのガジェットも両隊長が当たるので問題はない。 後は事後処理や各所への通達、報告書の提出などを指示するだけだ。 「しっかし色んな意味で予想外やったなぁ…」 ふと口から漏れたのはフロシャイムの事だ。正直、あそこまで圧倒的な戦闘力だとは思ってなかった。 しかもそれがたった二人の怪人(大半はPちゃんの活躍かもしれないが)とあれば尚更だ。 そして現場に現れた目的、それも意外なものだった。はやても当初二人の姿を見た時はなのはと同様に、様々な可能性を考えた。 そこでアジトに確認の為の電話をかけ、応対した1号から話を聞いた時は安心して肩透かしを食らったくらいだ。 電話に出た1号の声は焦っていた様で、寧ろ向こうからかける所だったらしい。事の真相はこうだ。 フロシャイム本部からガジェットの資料がFAXで届き、その注意欄に「最新では山岳地帯リニア付近での目撃情報あり」と記されてあり、今日リニアを利用しているヴァンプ達を心配した2号がまず携帯に連絡したのだ。 だが電源が入っていなかった為に連絡がつかず、目的地である病院に着いたから電源を切ってあるのかと考えたが…フロシャム製GPSでの反応は山岳地帯を通過中のリニア内部を示していた。 そこで待機中だったデビルねことPちゃんで現場に急行し、1号が六課に問い合わせようとしていたという訳だ。 だが乗客の避難が完了済みの車両で何故反応があったのか?そんな疑問が頭に浮かぶが自分である仮説を立てて、納得してしまった。 「ヴァンプさん携帯とかはいつもアレ(盾)に入れとるからなぁ~まぁ多分、網棚か何かに忘れてったんやろ」 このタイミングでは出来すぎた話にも思えるが、相手がヴァンプだとありあえるかもしれない。 そう結論つけ、ため息を吐くとはやては次の指示をロングアーチに出していった。 ~山岳地帯リニアレール内部~ 「で、アンタ達はそのヴァンプって人が心配でここまで来たって訳ね?」 「うん。でも良かった~荷物を忘れてただけで」 オレンジ髪でツインテールの少女、ティアナは「荷物ねぇ…」と不機嫌そうに呟き、デビルねこから先程はやてが聞いたのと同じ様な説明を聞いていた。 少し前に聞こえた何かを突き破る轟音に気づいたティアナ達はすぐさま音のした客車へと急行したが、 彼女らが目にしたのは大きな盾と槍を引きずる猫とまるで置物の様に動かない鳥だ。 一応話を聞き、ここに現れた目的と部隊長と交流がある事はわかった。 ちなみに彼女が不機嫌なのは決してデビルねこに対してではない。自分の相方の行動に青筋を立てているのだ。 「ティ、ティア~この子すごい、すごいフカフカだよ!?低反発だよ~」 そしてその件の相方、青髪でショートカットの少女スバルは動かないPちゃん(充電中)を抱え、その抱き心地に感動していた。 遭遇してからティアナが話を聞き終えるまでずっとこの調子である。 「うっさい馬鹿スバルっ!!今はまだ作戦中なんだからいい加減にしなさい」 流石に許容出来なくなったのかティアナはスバルをしかり付け、いくらかおとなしくなったが(Pちゃんを離さないまま)「ティアも抱っこしたい癖に~」とぼやいていた。相変わらず鋭いと思うが今は任務が優先だ。 「とにかくこれからリィン曹長、私たちの上司と合流するからアンタ達も一緒に来て。流石にここに置いて行くわけにはいかないから」 「あ、リィンちゃんもいるんだね。わかった!!」 リィン曹長とも知り合いだったのかと意外に思ったが、自分の上司と彼らが戯れている姿を容易にイメージが出来、つい気持ちが和んでしまった。 自分もスバルの事を言えないなと苦笑してしまう。 そして自身よりも遥かに大きい盾と槍を抱え、ズルズル引きずりながらついていこうとするデビルねこを見ていると、 何か胸にくるモノがありどこか放っておけない。 「ほら、持ってあげるから貸しなさい」 「え!?そんな何かわるいよ。あんまり重くないから大丈夫だし…」 やはり断られた。でもさっきの様な姿を見ているとお節介だと感じつつも、つい世話をやきたくなってしまう。 「だったら証拠物件として預かるわよ。一応現場にあった物だし、それに大切な人の物なんでしょ?だったら丁寧に扱わないと傷むじゃない」 そう言うとデビルねこはう~んと考え込んで「うん、じゃあお願いします」となり、スバルはその隣で「素直じゃないねぇ~ティアは」と言ってニヤニヤとティアナを見ている。 この際スバル(馬鹿)は無視しようとティアナは思った。そして盾と槍を預かった彼女はそのままデビルねこもヒョイと脇に抱え、デビルねこは「え?」と声を出す。 「こっちの方が早いでしょ?それにもうリニア内でガジェットの反応も無いから別に問題無いわよ」 「あぁ~ティアずるい!!私もねこ君抱きたかったのにぃ~」 「うっさい!!アンタはその子(Pちゃん)がいるでしょうが。ほら、早く行くわよ」 自分を羨ましがるスバルを連れてリィンと合流する為に先頭車両へと向かう中で、ティアナはデビルねこの何だか体に馴染む抱き心地に不覚にもクセになりそうと思ってしまう。 そしてこの時、彼女はわからなかった。これから時間がある時はフロシャイムのアジトへちょくちょく足を運ぶようになるとは… 「ねぇところでさ、Pちゃんの嘴やねこくんの頭にかけらとか汚れとかついてるけど…大丈夫なの?」 「ん?あぁさっきガジェットにいっぱいぶつかっちゃったから…でも大丈夫、案外脆かったから全然たいしたことないよ」 さらりと何かとんでも無い答えが聞こえた気がするが、ティアナはデビルねこの抱き心地に意識を向けることで、あえてスルーをした。 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語はミッドチルダにて繰り広げられる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― 続く おまけ ~フロシャイム西東京支部~ 「おぉ、ヴァンプか!!先程お前から送られてきた報告書が届いてな、今見ているところだ」 受話器を片手に資料を読んでいるヘンゲルは現在それを送ったヴァンプに確認の電話をしていた。 「うむ、ミッドチルダの社会体制、内情、司法組織の内容が実によく纏められておる。 たった2ヶ月足らずでこれ程とは流石ヴァンプ将軍、侮れぬ男よ…」 ヘンゲルはよく纏められているヴァンプの報告書の出来に嘘偽り無い称賛の言葉を送る。 だがディスプレイに表示されている六課、主に隊長陣の戦闘映像(撮影 Pちゃん)については多少不満があったようだ。 「しかし資料にある戦闘映像…なぜ横からの視点しかないのだ?飛行タイプの怪人であればこれで事足りるだろうが、フロシャイムには飛べない怪人も多い。 次に資料を送る時には様々な、そして怪人たちの視点、即ち真下と斜め下からの映像も追加し、三次元の立体的な動きを把握する必要があるだろう。あぁ、では次回も期待しているぞ」 「あの、ヘンゲル将軍」 「何だサミエル?」 報告書の改善点を伝え、通信を切ったヘンゲルに対して傍らに控えていたサミエルは声をかけた。 「将軍の意図は理解しています。勿論もうひとつの意味も…しかしなぜ斜め下も必要なのですか?真横と真下で充分だと思うのですが…」 サミエルの問いにヘンゲルは深い溜め息を吐いてから口を開く。 「サミエルよ、わかっておらんな…大事のはチラリズムだ」 「………………」 ---智将ヘンゲル、彼のIQは150を超えると言う------ [[前へ リリカルサンレッド4話]] [[目次へ リリレッド氏]] [[次へ リリカルサンレッド6話]]